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【大学教育最前線】 学生の成長を促すために、挑戦の場をつくり続ける(日本大学)羽多野正俊

【大学教育最前線】 学生の成長を促すために、挑戦の場をつくり続ける(日本大学)羽多野正俊

~リアルロボットバトル日本一決定戦での等身大ロボット開発~

学生の成長を促すために、挑戦の場をつくり続ける

日本大学理工学部精密機械工学科 羽多野正俊 准教授

大雪、震災、台風・・・自然災害は突如襲ってくる。人々が困っている時、マンガの世界ではロボットが飛んで助けにきてくれる。しかし、実際の世界ではまだそのようなロボットは開発されず、危険な場所でも人が命をかけて救助に向かっている。羽多野先生は「本当に役立つロボットをつくりたい」という思いから、学生達とレスキューロボットの開発に挑戦している。

大会を目指し、ロボット開発

レスキューロボットは、未知なる場所を自分で判断し、時には瓦礫を取り除きながら進む必要がある。現在開発をしているロボットは2mを超す。瓦礫を掴んで持ち上げられるように指先にセンサをとりつけ、悪路でも進めるように重心の位置を計算しながら動かせるシステムを開発している。またSLAM(Simultaneous Localization And Mapping )という、道が壊れた場所でも、測距センサであるレーザーレンジファインダーという装置を使い、自ら地図を作りながら自分の位置を推定して進んでいくシステムの開発を進めている。学生たちはこれらの研究成果も踏まえ、毎年「Robo Cupレスキュー」の大会にエントリーしている。

前代未聞、等身大ヒト型ロボットバトル

 2012年11月、羽多野先生の元にテレビ局から相談がきた。「等身大ロボットをつくり、映画のように戦いをさせたい」。レスキューロボット開発のノウハウを応用き、学生の学びにも良い機会になると判断し、「リアルロボットバトル日本一決定戦」への参戦に快諾した。テレビ出演を聞いた学生達は世界初の試みにワクワクした様子。先生の狙い通り彼らのエンジニア魂に火をつけ、そこから約1年怒涛の開発がスタートした。2mを超すロボットを自立させる技術、相手を認識する技術、力強いパンチを打つ技術。開発にはレスキューロボットで必要な要素、が使われた。重たいロボットを動かすためにはパワーが強い油圧を使う必要がある。しかし、油圧で複雑な動きは難しい、どこに油圧シリンダを取り付けるか、腕と腰の干渉がないような構造はどのようなものか、試行錯誤の繰り返しだ。また、人のパンチに似せるため、腕だけでなく腰も同時に動かす工夫も必要だ。これらの制御するプログラムにもかなり苦戦をしいられた。実際に全てが動くようになったのは、本番前日深夜。試合中も油圧の動力であるエンジンが動かなくなるなどトラブルが続いたが、1回戦目は勝利。2回戦では途中で無線によるコントロールが効かなくなり、惜しくも敗退した。しかし、誰も挑戦したことのないロボット開発を成し遂げた学生の顔つきは、立派なエンジニアになっていた。羽多野先生は彼らの成長を感じた。

社会を支援するレスキュー隊に志願

日本大学では2014年度から「国際救助隊」を発足する。日本大学の研究者や成果を結集させ、学生と共に全国、国外の課題解決・教育支援を行うものだ。羽多野先生もそのメンバーとなり、学生と一緒に「災害レスキューロボット実機デモを通じた極限環境技術教育支援」を行う予定だ。研究開発した成果を子どもたちでも扱えるように、ロボットに改良を加える。そして分かりやすくその技術の価値と課題を子どもたちにプレゼンテーションする。羽多野先生は、学生たちに新たな課題を提示した。学生たちはその課題への挑戦を通じて、プロのエンジニアとして一歩踏み出すことになるだろう。

実施校募集中!全国各地にN.国際救助隊が伺います。 26年度から始まるプロジェクトの実施希望校を募集しています。

「教育支援」では理工系学部、文理学部、国際関係学部、生物資源科学部を中心に普段行う研究をわかりやすく学ぶプログラムを作っています。

例)

●レゴブロックを使った宇宙エレベーターや宇宙ロボット製作しながら、宇宙開発の新しい方向性を学ぶプログラム

●最先端の物理科学を学ぶ電気・電子・光のマジックショーなどのプログラム

実施希望、詳細希望の方は巻末のFAX用紙にご記入の上、お送りください。