本への「熱」と科学技術への「熱」が融合するとき2:株式会社フライヤー代表取締役CEO 大賀 康史さん

本への「熱」と科学技術への「熱」が融合するとき2:株式会社フライヤー代表取締役CEO 大賀 康史さん

maru-ohga

リバネス丸 幸弘の「熱」×「熱」対談、第一弾は株式会社フライヤーの大賀社長です。今回はその2回目、社員の「熱」を社会に実装しイノベーションを起こす仕組みについて、熱く語り合います!

第一回目はこちら

1-2 社員の「熱」を社会に実装していくQPMIサイクル

:私は周りの人から「熱いよね」と言われることが多いですが、それは、私の周りに熱をもった社員がたくさんいるからなんです。彼、彼女らは、不器用だったり、もじもじしていたり、人前で話すのが苦手だったりと、他人から「熱い人」という表現をされるタイプばかりではありません。しかし、それぞれが何かしらの「熱」をもっている。これが私に乗り移っているんです。

大賀:丸さんは個人の「熱」がイノベーションを起こすと、自身の著書でもおっしゃっていますね。

:そうです。その仕組みが QPMIサイクルなんです。今、経営者に求められることは、この社員の「熱」にいかに気づき、どう伸ばしていくのかだと思います。マネジメントの立場からすると、どうしても声の大きな人の意見を拾いがちになってしまうじゃないですか。

大賀:私も、どうしたらイノベーションが起こるのかをずっと考え続けてきたので、丸さんの著書でQPMIサイクルについて読んだとき、すっと入ってきました。これはどのようにして思いついたのですか?

:これまで何かを新しく始めるときには、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回せと、現場レベルから経営層まで、あらゆる場面で言われてきました。でも、私はこの考え方が好きではありません。なぜなら今の時代、3年後、いや1年後ですら見通すことはとても難しく、最初の「P(Plan)」を立てることができないためです。このように、この先何が良いのかがわからない時代、そして、会社もいつ潰れるかわからない時代を生き抜くためには、「Plan」の前に、「Passion」、個々の「熱」が必要なんです。リバネスは、QPMI(Question-Passion-Mission-Innovation)サイクルをまわすことで、イノベーションをおこすプラットフォームとして存在し続けたいと考えています。

大賀:イノベーションを起こすためには、まずパッションなんですね。

:そうです。私は社員のパッション=熱をゆさぶり、何かをクリエイトするためにはどうすればいいのか、それを考え続けています。まったく別なジャンルの仕事をさせてみたり、より大きなプロジェクトを任せてみたり…そうすると、私の予想と同じ動きをするんです。つねに実験をしている感じですね。

大賀:研究者らしいですね。

:社員によって状況は様々で、たとえば、P(Passion)はあるけど、Q(Question)が曖昧になっている人や、QはあるけどM(Mission)に落とし込めていない人など、人それぞれです。そういう社員の話を1人1人聞き、ディスカッションする中で、一緒に未来への道筋を描く、私はそういうことを常にやっています。常に人材育成です。QやMを見いだすことは、訓練すれば誰でもできるようになると思っていますので…。

大賀:しかし、QPMIサイクルをまわしながら、社員を成長させ、一緒にイノベーションを起こし続けているということですが、そう簡単なことではないと思います。そのモチベーションはどこからくるのですか?リバネスの理念をなんとしても達成したいという強い意志なのか、それとも、丸さんのまわりに集う人がいきいき働くためのプラットフォームなのか…

:他人のために生きたことは一度もないですね。感謝されるために何かをやることもありません。私はとにかく「熱」をもった人が好きで、そういう人と一緒にいたい。おもしろいから一緒に何かやっている、という感覚です。子どもの頃、「あいつと友達になりたいな」と思うのに、とくに理由はないじゃないですか。それと一緒です。だから私は今も、お金のことは気にしない、メリットがなくても手伝いますよ。そこに「熱」があれば。やり方は後から知恵をしぼります。

大賀:究極的には自分のためにやっている。

:そうです。私は他人の成長に興味がありますが、それは、自分自身の成長に興味があるからです。他人が成長すれば世の中が変わる。私は、世の中を変える何かを、その人と一緒にやったという実績がほしい。それは私の成長につながるから、実は私が一番得しているんです。お金がほしいわけではありません。

大賀:好きなことをやって、それで生きていける程度のお金をいただけるのであれば、それはとても幸せだと思います。儲かる/儲からないよりも、夢のあることをやっていきたいですね。

:イノベーションを起こす、とか、世界を変える、という言い方は、とても大きく見られがちですが、実は大したことではありません。自分のまわりで、ちょっと良い世界をつくろう、という取り組みもイノベーションだと思っています。そしてこれは、特殊な一部の人間だけが行えるのではなく、熱をもっていればだれでも行えることだということを、世の中に広めていきたい。世界を変えるということを、「当たり前」にしたいのです。

大賀:まったく同じようなことを孫泰藏さんもおっしゃっていました。最初から大きなことを変えようとしなくてよい。小さいことでも100人がやったら、それは世界を変えたということになりますよね。

:「世界を変えるビジネス」というのは、誰でもできることなのです。

→次回はフライヤー&リバネスの誕生秘話についておとどけします!

リバネス丸幸弘の本…世界に革新をもたらす仕組み、QPMIサイクルについて、もっと知りたい方はこちら。

フライヤーでは丸の著書の要約も読めます! http://flierinc.com/