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【国際開発事業部の思い】これからの国際教育に 「英語力」も「国内外」も重要ではない(vol.22)

【国際開発事業部の思い】これからの国際教育に 「英語力」も「国内外」も重要ではない(vol.22)

株式会社リバネス 国際開発事業部 前田 里美

国際的に活躍できるグローバル・リーダーを育成するために設けられた「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」 制度。今年の2月に全国56校の高等学校が平成26年度のSGH指定校として採択されました。文科省からSGH指定 校として認定されると年間最大1,600万円の助成をうけることができます。

 

減少する海外への留学生

その背景にあるのが、海外へ留学す る日本人学生の数の減少です。今年の 3月に文部科学省が発表したデータに よると、国外の大学へ就学する学生数 が2004年の82,945人をピークに減 少傾向にあり、2011年には57,501 人まで減少(グラフ1)。その数は国 内の大学に属する全学生数の 1 パーセ ントにしか満たないことが指摘されま した。私自身は、高校卒業後、アメリ カ・ミズーリ州の州立大学に留学し学 部時代を過ごしたのですが、アフリカ 諸国や東南アジアからの留学生は大勢いる一方で、日本人留学生の数は私を 含めてたった3名でした。後にオハイ オ州の都市部の大学院へ進学した時 も、属した研究科では私が唯一の日本 人。6年間過ごしたキャンパスで、一 度も日本人の学生と出会ったことはあ りませんでした。

 

未だに厚い語学の壁

では、なぜ、日本の生徒は留学に関 して足踏みをしてしまうのでしょうか。 実は、文部科学省の調査によると、約 40%の高校生が留学に興味を持ってい ることが示されています。興味はあるにもかかわらず留学生の数は減ってい る、その主な理由は「語学力」にあるよ うです。同じ調査で、「留学したいと思 わない」と回答した学生が、その理由 としてあげたのは「言葉の壁」「経済的 に厳しい」「留学方法、外国での生活、 勉強、友達関係の不安」「魅力を感じな い」で、その中でも「言葉の壁」と答え た割合が最も高く 6 割近くにのぼりま す(表1)。確かに、母国語が英語と異 なる場合、講義が主な学部レベルでの 留学では英語力が大きなハードルにな ります。私も、留学してから最初の1 ~2年は、テープレコーダーで講義を 録音し、授業の後に再度聞いてノートを取らなくては、とても得る情報が足 りなかったことを覚えています。

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英語力より必要な力

では、英語力に自信がつけば、グ ローバル・リーダー人材として活躍で きるのでしょうか。私の答えは「NO 」 です。英語のスキル、留学の経験などは、努力の結果得られるものであり、 その根本にあるのは、「自分の夢を持ち、 その実現の為にはより良い自己成長と 自己実現のための機会を、国境にとら われずに選ぶことができる力」だと思 います。それがグローバル・リーダー には必要不可欠です。そのため必要に なってくる能力は、問題発見能力です。 自分の能力や興味、または社会のニー ズに基づいて、自分が解決したい問題 を設定でき、その達成のため世界中の 技術や人とどうネットワークをつくれ ばよいかを考えることができること。 この力を育成するためには、まずは価 値観の異なる人たちと直接触れ合うこ とで、自分自身の考えをより深く掘り 下げ、豊かにすることが最初の1歩だ と考えます。そのため、語学のスキルアップや、海外の文化・歴史を学ぶ旅 行は、あくまでもそのための準備であって、それだけでは不十分だと思う のです。

 

国内にもグローバルな学びのきっかけがある

また、必ずしも海外へ行くことは必 須ではありません。リクルートワークス研究所がこの点に関しておもしろいデータを発表しています。この研究では、「留学生との交流の様式が異なれば 日本人学生に与える影響が違う」とい う仮説のもと、「日本人学生の海外勤務 に対する価値観」が交流形態によって どう変わるかを検証しました。その結果、一緒に大学の授業を受けるだけよ り、20人~ 30人ごとのクラスで留学 生 3 ~ 4 人を交えてディスカッション をするゼミを行ったほうが、日本人学 生の価値観により強く影響したことが わかりました。この研究は、「海外勤務 に対する価値観」という指標について のみ調べたものですが、この結果からも、国内での経験であっても、国境を 越えて活躍できるリーダーを育成する きっかけを与えることが可能であるこ とが裏付けされています。

 

リバネスのグローバル・リー ダー育成プログラム

リバネスでは、国内、国外における 様々な教育・研修プログラムを通して、 世界を舞台に活躍するリーダー人材の育成を目指し、教育プログラムを開発 しています。私たちが行ってきたグ ローバル・リーダー育成プログラムで は、プロフェッショナルとして世界で 活躍をしている先駆者や、すでに留学 という一歩を踏み出している先輩から 学ぶ機会を設けることで先輩方がどうやってそこまで辿り着いたのかを学ぶ ことができます。さらに、参加生徒に「必ず英語で自己紹介をする」「自分の 考えをプレゼンテーションする」など の課題を設けることで、自分の知識を さらに深め、自己を振り返るきっかけを与えます。プログラムを体験した生 徒からは「あきらめないことの大切さ を知った」、「考え方を知ることで、自 分の世界を広げることができた」など の声をもらいました。このように、海 外の専門家やプロフェッショナル、ま たは先輩留学生との接点を通し、これまで漠然としていた外国への憧れや職 業観がより明確になります。思いを「決 意」に変え、生徒達が「自分がやりたい ことは何だろう」と考え、行動に移す後押しができたのではないでしょうか。 これからも、先生方と一緒に研究と実 践を通し、よりよい教育プログラムを 開発し続けていきます。

<筆者プロフィール>

高校卒業後、アメリカに渡る。Truman State Universityで心理学の学士、Wright State University で人間工学、心理学の分野で修士・博士号を取得す る。大学院在籍時に、アカデミックアドバイザーと して学部生の進学・就職支援、アウトリーチ活動、 セミナー講師を務める経験を持つ。株式会社リバネス国際開発事業部所属。 

 

リバネスでは、世界を舞台に活躍するリーダー人材を育てるための教育プログラムを開 発しています。先生方のニーズに合ったプログラム開発も行っております。興味のある方はお問い合わせください!

プログラムラインナップ

1 専門家や研究者との出会いを通して学ぶ 「海外研修コーディネート」

2 海外の先輩研究者からサイエンスのおもしろさを実験を通して学ぶ 「英語 de サイエンス」

株式会社リバネス 国際開発事業部 担当 孟・徳江・前田 東京都新宿区下宮比町1-4飯田橋御幸ビル5階

TEL:03-5227-4198

FAX:03-5227-4199

E-mail: [email protected]