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元フィールド研究者 キホコの留学放浪記#2

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その2 留学中
    〜海外の研究室は日本と違う?〜

このコーナーでは学部生から博士号取得まで海外で研究をしてきたフィールド研究者、徳江紀穂子が研究者の留学にまつわる疑問に答える。第2回目では、『アウトドアな研究生活』について紹介する。

過去の記事「その1 留学前」を読んでない方はこちら!「その1 留学前」

1年の半分は、研究室にいない
日本と海外の両方でラボで過ごしたことのある私にとって研究科内の人材交流の違いはとても印象的だ。日本ではなかなか研究室外の人たちと話す機会はなく、ラボの先輩や先生の影響が絶大であった。しかし、オーストラリアやタイでは、基本的に研究室のドアが開いており、異なる研究室の人でも自由に出入りができた。世間話をしていたはずがいつの間にか研究の進め方やキャリアについての相談になっていたということもある。毎日顔をあわせる研究室の独自の方針や文化にとらわれることなく、新しい見方を提供してくれる友の存在は貴重である。
しかし、こうした大学での研究室同士の交流を持つ機会が少ないのがフィールドワーカー。私達は野外調査地にでかけ、現地で黙々とデータを収集する毎日が1年のうち数カ月続く。日の出と共に宿舎を出て、日中は1人で行動、1人で判断し、それが二度と取ることができないかもしれない貴重な研究結果となる。とても孤独な研究だ

ローカルでグローバルなフィールド宿舎!? 
 そんな孤独な環境で研究をしてきた私だが、実は、毎日議論する仲間はできた。どこで仲良くなれたのか?それは、調査地の宿舎だ。タイの国立公園で調査をしていたときには、オオテナガザルやブタオザルを研究するヨーロッパ人・タイ人の調査グループが近くに宿泊していた。また、植物の発芽状況を研究するタイ人チーム、鳥を研究する海外のチームとも一緒に生活をしていた。1日の調査を終え、夜になると裸電球に寄ってくる虫のようにお互いの宿舎に引き寄せられる。それぞれの研究の話や情報交換をするためだ。時にはタイ以外のフィールドの話を聞ける機会に恵まれることもあった。テーマや専門分野も多様で、人種や育ってきた環境も異なる人々との交流は、相手の状況や背景を踏まえて、必要かつ適切な情報を提供する練習になった。また、研究を進める上では、異なった視点からのフィードバックを得ることができたので新たな気づきを得ることも多かった。世界で活躍する研究者から多様な視点を得られることはフィールド調査の楽しみの一つだ。

配属されたラボの外にも研究コミュニティを広く持つことは、異なる視点や知見を得られ、研究者としての受け皿を大きくすることにつながる。孤独な研究だからこそ、異なる視点を与えてくれた友の存在のありがたみを今でも思う。海外に出るなら、オープンな研究コミュニティにも飛び込んでみてほしい。

次回は、研究者ならではの就職活動について書くのでお楽しみに。

ここに書ききれなかった留学時のエピソードなどWebサイト「リサーチア」にアップされているのでそちらも合わせてどうぞ。他のメンバーによる留学話も載っています。http://r.lne.st/author/tokue

筆者プロフィール
Indiana University of Pennsylvania Bsc in Biology卒業。Master of Science in Zoology, University of New England. 3年間、King Mongkut’s University of Technology Thonburiで研究員として仕事をした後、立教大学に在籍しながらオーストラリアでフィールド調査をして、博士号を取得。2011年、リバネスに入社、人材開発事業部でキャリア講演や海外研修、企業海外進出を手掛ける。

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