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3Dプリンタの5つの方式をまとめてみた〜【特集】3Dプリンタは産業界・研究界に革命を興すのか?『EngGARAGE*04』

3Dプリンタの5つの方式をまとめてみた〜【特集】3Dプリンタは産業界・研究界に革命を興すのか?『EngGARAGE*04』

パーソナルからプロフェッショナルまで幅広く使われ始めた3D プリンタ。これから利用や導入を考えている研究者の方へ、3D プリンタを使うときに 知っておいてほしい、5 種類の装置とその特徴を紹介する。

 

最も普及している熱溶解積層方式

3D プリンタブームの火付け役になった方式だ。 ソフトクリームのように、ヘッドから溶けて線状に なったプラスチックの樹脂を少しずつ押し出しなが ら立体を造形していく。FDM(Fused Deposition Modeling)法とも呼ばれている。2009 年に特許が切 れたことにより、価格は大幅に下がり、個人にも手が 届くようになった。  サイズは卓上で小型なものが多い。素材はABS や PLA などのプラスチックが選択できる。だが、一度 に使えるのは2 色程度が限界だ。複雑な形状や中空な 形状を作る際は、サポート材という足場を同時に作り、 完成したら取り除く形をとっている。個人で作ったデ ジタル作品を立体造形にするホビー用として広く利用 されはじめており、ちょっとした研究の部品を作りた いときに適している。

 

 ロングセラーの光造形法式

30 年以上前に日本人が特許を取り、製品化された 方式で、最も古くから利用されている。紫外線レーザー を当てると硬化する樹脂を用いて、1 平面ずつ樹脂を 硬化させ、積層する方法である。レーザー光線の出力 で積層するピッチ(幅)を変えることができる。液体 を固めていくため、造形物の形によってはサポート材 が必要である。素材としてアクリル系樹脂やエポキシ 系樹脂を使っているため、透明感のある構造物をつく ることも可能だ。

 

滑らか仕上げが可能なインクジェット方式

インクジェットヘッドを使って、紫外線で固まる樹 脂を微細粒子にして噴射する方法だ。噴射した樹脂を 紫外線で固めながら積層していく。そのため、表面の 仕上げも滑らかにできるため、今後使い勝手がよくな れば、主流になっていく可能性が高い。数種類の素材 を組み合わせて透明感のあるものを作ることができ る。サポート材が必要となり、完成後に温めて溶かし、 油脂成分を取り除くことが必要となる。アクリルやゴ ムのような材質、シリコン材質も扱い、生体適応素材 を使って医療用製品も作ることができる。弱点として は、紫外線硬化樹脂を使っているため、直射日光等に は弱い点である。

 

 

色鮮やかな物が作れる インクジェット粉末積層方式

結婚記念のお祝い品のフルカラー3D プリンティン グのサービスが開始されるなど、テレビ等で一般にも 話題になった方式である。パウダー状の素材にインク ジェットの方式で1 平面ずつインクと接着剤を出して 固めながら立体を造形していく。インクは通常の大型 プリンタのインクを使い、プリント速度は他の方式に くらべて早い。材質は石膏やデンプン、プラスチック である。パウダーを固めながらずらして立体を作って いくため、サポート材は必要ない。ただし、石膏を固 めたということもあり強度は弱く、あまり細かい造形 物は作ることができない。フルカラー出力ができるた め使用用途は広く、製品の試作品はもちろんのこと、 ホビーやアート作品としてビジネスとしても広がっている。建築業界などではシミュレーションした家を出 力して効果的な説明に使い成約率を高めている例もあ り、学会などのプレゼンテーションにも利用できそう だ。

 

頑丈な物を作れる粉末焼結方法

粉末状の材料に高出力レーザー光線をあてて、焼結 させる方法である。溶かして固めるため耐久性のある ものを作ることができる。素材としてはナイロン、セ ラミック、ポリプロピレン、金属(銅、ステンレス、金、 銀、鉄、チタンなど)を扱うことができる。そのため 最終製品や、鋳型を作る際に利用される場合が多くな ると見込まれる。焼結をするため、表面はあまり滑ら かにつくることができず、価格が高いことが難点であ るが、2012 年に特許が切れたこともあり、これから 手に入れやすい価格になっていくことが予想される。

 

何をつくるかで方式を選ぼう

これまでは、作りたいものがあっても「どう作るの か」に頭をなやませ、ものづくりに手を出せないこと が多かった。今では、3D スキャナーやモデリングソ フトを利用し、作りたいものがコンピューター上に表 現することができれば、素材の選択肢が増えたため、 様々な造形物を作ることができるようになってきた。 そのため、今後は「何をつくるか」を決めればそれを 具現化するハードルはかなり下がることになるだろ う。経済産業省がまとめた「新ものづくり研究会報告 書」(下図参照)にあるように、3D プリンタも積層ピッ チ(製品の密度や表面の細やかさ)や、造形物のサイ ズで非常に幅広い製品が発売されている。簡単な試作 をしたいのか、強固で使えるものを作りたいのか、用 途に応じて使い分けることが必要だろう。また、3D プリンタを購入せずに業者に出力してもらうインター ネットサービスも充実してきている。

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