農業のオートメーションを ともに進める仲間を募りたい
オムロンベンチャーズ株式会社
代表取締役社長 小澤尚志 氏
民間企業研究員、京都大学教員( 助教) を経て、2003 年オムロン株式会社に入社。電子部品事業を担当し新規事業向け要素技術開発や技術戦略策定などを行う。2011 年より同社グローバル戦略本部経営戦略部でM&A、新規事業開発などに携わった後、2014 年7 月より、オムロンベンチャーズ株式会社代表取締役社長。
オムロン株式会社は、独自のセンシング&コントロール技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして制御機器、電子部品、ヘルスケアや社会インフラなどの事業を通じさまざまな分野で社会の発展に貢献してきた。事業を超えた新たな価値を提案すべく、2014 年7 月に設立されたオムロンベンチャーズ株式会社では、多岐にわたる分野を対象に、3 年間で30 億円規模のベンチャー投資をめざす。農業分野では、どのような“アグリプレナー”との連携を期待しているのか。同社の代表取締役社長に就任した小澤尚志氏に話を伺った。
オートメーションで、農業を儲かる仕事に変えたい
小澤氏は、オムロンの強みで解決しうる、ある農業の課題に着目する。「農業における最も大きい課題の1つが、他産業と比べて労働時間が長いこと。これを改善したい」。年間2,000 時間弱の労働時間である一般的なサラリーマンと同等の収入を得ようとすると、農業の場合、3,000 時間から多い場合には6,000 時間くらいの労働時間が必要になる。「つまり、農業に従事するインセンティブが少ない。働く時間と収益を、他の産業並みに変えることで、生産者を増やしていきたい」。これが小澤さんの想いだ。
農業のオートメーションにチャレンジする仲間を募りたい
例えば、ブドウ生産には商品の形と品質を安定させるため、房の粒数を手作業で揃える「摘粒」とよばれる作業があるが、これに多くの時間が使われていると小澤さんは分析する。「時間のかかる作業をより効率的にできるようなシステムを構築したい。もっと言えば、農作業そのものをアルゴリズム化して予測し、アドバイスまで出せるようなシステムを考えています」。果樹・野菜の生産を対象とし、製品イメージはセンサー技術からロボット、ネットワーク技術まで、ファクトリーオートメーション分野と同様に広く捉えている。
このような、農業のオートメーションで協業できる「仲間」との出会いに期待し、小澤氏はアグリプレナーグランプリへのスポンサーを決めた。「農業の自動化に、一緒にチャレンジしたいという仲間を募りたい。生産者、技術畑の方などは問わず、自動化、形式知化への興味や強い意志をもっていらっしゃる方との出会いを期待したい」。アグリベンチャーへの出資や、新しく立ち上げる農業オートメーションのセクターへの参画、技術を構築するために課題をともに発見する協業など、コラボの形も問わない。ともに農業の発展にチャレンジする、アグリプレナーへの期待が高まっている。
出展:『AgriGARAGE』07号、15ページ
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