課題研究で使える! 水質分析研究 教員研修 参加者募集<日本女子大学>

課題研究で使える! 水質分析研究 教員研修 参加者募集<日本女子大学>

目的に合わせた水質データの解析方法
課題研究の中でも、環境調査を扱ったものはよくあります。しかし、研究内容を精査すると、単に身近にある環境中の物質濃度を調べ、その数値を報告することにとどまってしまい、そこから何が解明されたのかまで考察できていないものも数多く見受けられます。実際に、2014年度に中高生が行った209の課題研究において、その多くに、研究の始まりにあたる「疑問と仮説」がなく、明確な目的のない研究が多いことが明らかになりました(株式会社リバネスサイエンスキャッスル事務局調べ)。そこで今夏、日本女子大学では、正しい課題研究の進め方を体験していただくため、宮崎あかね先生を講師に、課題研究のテーマとして扱う先生方も多い水質調査を題材に教員研修会を実施します。

調査データの真意を読み解く
宮崎先生は森林の環境保全のために、物質の吸着や脱着の観点から、雨や風などで森に入ってきた物質が土壌中でどのように移動するのかを明らかにしようとしています。そのために、雨水や土壌中の水を採取し有害物質の濃度を測定したり、地下水への流出量を推計したりするなど、土と水に注目した様々な調査を行っています。森林の土壌は、生息する動物や植物、季節の変化など様々な影響を受けます。そのため、測定値を鵜呑みにするのではなく、研究の目的に合わせて測定値を読み解くことが鍵になるのです。例えば、年間を通して定常的に森林に降り注ぐ海塩粒子。海塩には硫酸イオンが含まれるため、雨水や土壌溶液に硫酸イオンが含まれていたからといって、その全てが人間活動に起因するものとは言えません。人間活動の影響を知るためには、海塩性の硫酸イオンと非海塩性の硫酸イオンを分けることが必要になります。また、春や夏になると土壌中の物質濃度が全体的に高くなりますが、この原因の一つに植物が成長のために土壌の水分をたくさん吸い上げることが挙げられます。そのため単に濃度を比較するのではなく、蒸散作用による濃縮を補正する必要があります。雨水や土壌水に含まれる各成分の特性を活かすことによって、目的物質の本来の濃度が推測できるのです。

調査の目的にあわせたデータ解析が大事
サンプル中の物質濃度を測定することは、誰にでもできます。しかし、得られたデータは環境中で起こっている様々な現象が組み合わさった結果であり、注目する現象を抽出するためにはサンプリングやデータ解析の工夫が欠かせません。宮崎先生は「データ解析には、様々な研究の蓄積があって、それらを使うから見えてくるものがある」と言います。調査データから正確な結果を導き出すには、これまでの研究で得られている知見を組み合わせてデータ解析を行うことが重要になります。本教員研修では、宮崎先生と実際の環境水を分析しながら、目的に合わせた分析値の解析の具体的な例や、授業でも活かせる解析の考え方なども紹介します。研修会に参加して、環境調査に必要な考え方やコツをつかんでみませんか?

西生田キャンパス雑木林1

教員研修会概要
日本女子大学理学部物質生物科学科教授宮崎あかね先生から、水質調査の解析手法や先端分析機器を用いた実験を交えた研修会を開講いただきます。研修会前にはキャンパス見学ツアー(12:15~12:45)を予定しておりますので、こちらもぜひご参加ください(希望者のみ)。

日  時:7月29日(水)13:00~16:30
場  所:日本女子大学 目白キャンパス
(JR山手線「目白」駅から都営バス約5分、東京メトロ副都心線「雑司が谷」駅から徒歩約8分・
有楽町線「護国寺」駅から徒歩約10分)
内  容:
◆ 講義1 ………教材としての「水」
◆ 実験…………HPLC(高速液体クロマトグラフィー)とイオンクロマトグラフィーを使った水試料の成分解析
◆ 講義2 ………分析機器の原理と変遷
◆ 解析…………測定結果の解析
◆ 講義3 ………データ解析から見た環境保全
◆ 施設見学……NMR(核磁気共鳴)装置、化学実験室、電子顕微鏡施設 など
費  用:無料
参加人数:20名(応募者多数の場合は抽選)
申  込:冊子「教育応援」巻末の申込用紙に必要事項をご記入の上、FAXにてご送付、もしくは下記ウェブフォームよりお申し込みください。
ウェブフォームはこちら
締  切:6月30日(火)18:00

宮崎あかね先生