中山間地農業の課題解決にロボットシステム農業で取り組む 株式会社ホープフィールド
農業産出額の35%を占める中山間地農業は、国内農業生産や環境保全、治水の観点から重要な役割を果たしている。しかし、高齢化と過疎化が進み、将来その機能が低下することが懸念される。また、生産人口の減少によって鳥獣被害に拍車がかかっており、その維持が困難となる地域は今後増えるだろう。株式会社ホープフィールドは、この課題をロボットシステム農業の開発で解決するべく立ち上がったテックベンチャーだ。
TECH PLANTERとコトチャレンジで生まれたロボットシステム農業構想
中山間地農業に活用するロボットシステム農業の着想を始めたのは、柑橘農家出身の上野肇氏だ。情報工学分野で修士号を取得後、大手機器メーカーに勤務しながら、自身の強みを活かして農業に貢献する道を模索していた。そんな中で、第1回アグリサイエンスグランプリに出場、オムロン賞を受賞する。その後オムロンベンチャーズが運営する「コトチャレンジ」でメンタリングを受け、鳥獣被害軽減システムの構築を進めた。「コトチャレンジでは、アイデア段階から、いかに形にしていくかを親身に相談に乗ってくれた。オムロン草津ラボでの試作支援が受けられ、プロトタイプのブラッシュアップにつながった」と上野氏は語る。
最強の開発チームを結成、株式会社ホープフィールドを設立
これに加わったのが、「オムロンアグリベンチャーファウンダーコンテスト」で選出された望月大二郎氏だ。大学院で機械工学の研究を経て茶生産に従事するが、鳥獣被害に悩み、その軽減システムを考案、コンテストに応募した。2人はこれらの活動を通じて出会い、鳥獣被害の軽減システムの構想実現に向けて動き出した。
さらに、TECH PLANTER参加チーム「Fabmobi/島風技研」(注1)と「全日本重工業」(注2)も加わり、開発体制が整った。11月6日に株式会社ホープフィールドの登記を終え、第1弾の製品リリースにとりかかっている。「農作業が軽労化できれば、生産者はクリエイティブな時間に集中できる」。代表に就任した望月氏はそう語る。日本農業の課題に、ものづくりで真っ向から取り組むホープフィールドに、今後も注目したい。
(文/塚田 周平)