時間をかけ、ゆっくり生徒を伸ばす 清水 広幸

時間をかけ、ゆっくり生徒を伸ばす       清水 広幸

「ゆっくり伸ばす」ことは聖学院の教育の一つの特徴だ。6年間の学校生活の中で、押し付けることなく、時には見守り育てていく、そんな包容力がここにあった。

わかるようになりたい、その気持ちを後押ししたい

「今、わからなくてもいいからね」清水先生はたびたび生徒にそう伝える。すると、クラスの雰囲気がすっと穏やかになるそうだ。

例えば、物理のある授業。先生がプリントを生徒へ配り、みな一斉に問題に取り組むも、時間内に終わらない生徒も、質問をしない生徒もいる。「生徒だって人間です。授業の前に友達と喧嘩して落ち込んでいるかもしれない。また、すぐわかる生徒もいれば、そうでない生徒もいます。」と清水先生は続ける。期限はもちろん設定するが、サポートが必要な生徒へどのように働きかけるか、いままで試行錯誤を繰り返してきた。授業中に質問が聞けなかった生徒には、放課後質問するように働きかけ、時には質問にも来ていない生徒の友達を通して、答えと解説がついたプリントを本人に渡してもらうこともあった。勉強が苦手な生徒も、全員を伸ばす教師になりたい、先生のこの思いは、教師を目指したきっかけに由来していた。

聖学院の卒業生である清水先生は、卒業してすぐ、機会があって聖学院で実験助手として勤務した経験がある。その時、教室の後ろに立っていた清水先生に声をかけてくる大半の生徒は、授業に付いていけていない子だった。その時生徒たちとの関わり合いを通じて感じたことは、「勉強が得意ではない子でも、できるようになりたいと思っている」ということ。自分はわからない子たち教えたい、と教員を目指すために大学へ進んだ。教員免許を取得後、タイミング良く、聖学院では理科教員の募集があり、母校に着任。それから30年間、副校長に着任する2年前まで教鞭をとり続けた。

「育」にも重点を置いた教育

現在授業は担当しないものの、清水先生は物理部の顧問を引き続き務めている。先生が過去15年にわたり、毎年楽しみにしているのは、夏の合宿だ。大型バスを借り、OBと一緒に行う合宿ではペットボトルロケットの打ち上げと改良をひたすら繰り返す。飛距離を測り、仮説に基づいて改良を重ね、再度打ち上げる。その中で、専門的な知識を学ぶことはもちろんだが、上手くいかない時の失敗を経験し、原因を突き止めて改善する過程において、忍耐力も培っていく。また、先輩やOB、教員との密接な関わりあいの中で、礼儀や作法も学んでいく。

入学当初、数か月前までは小学生だった生徒たち。あどけなさが残る彼らが18歳になるまでの6年間、持ち前の好奇心や探求心を失うことなく、時には失敗を経験しながら、辛抱強く彼らを支える教員に見守られながら一人の人間として成長していく。「教育においての「教」、つまり知識を教えることはもちろん重要です。そして「育」の部分。どう一人前の人間として育てるか、ここが特に一番大切だと思っています。」清水先生の言葉には、生徒への愛があふれていた。

【学校情報】
聖学院中学校・高等学校
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