「自ら」に重点を置いた教育 奥秋 昭蔵
山梨県上野原市に佇む緑に囲まれた学舎の数々。その広さはなんと東京ドーム約2.2個分、32000坪もある。ここで日々を過ごす日大明誠高等学校の生徒は、豊かな自然の中で自分自身を発見し、鍛え、自立する活力を育んでいる。
主体性を持ち、多様な人たちと協働する人材となれ
今の小学生が大学を卒業するころ、65%の生徒が現在にはない職業に就いているといわれている。未来に活躍する人材を育てるために、中等教育に求められるものとは何か。
その答えを見つけ出すには、日本を取り巻く国際情勢や、教育の歴史的役割を理解することが重要だと奥秋先生は説く。「戦後の大量生産、大量消費の時代とは変わり、これから異なる文化的背景をもった人たちとの協働、連携が教育の主体になります。そして従来の機械的な作業はAIを中心としたロボットに引き継がれます。近い将来は、より創造的で人間独自の仕事が求められる時代となることが予想されます。従って、知識の量や暗記の正確さを求める従来の教育ではなく、自分で考える力、判断する力、そして自分の意見を表現する力などの『生徒の主体的な要素』が強く求められてくることが考えられます。」と奥秋先生。
日大明誠では、その『生徒の主体的な要素』を育成すべく、数々の取り組みを行っている。例えば高校生のときの進路選択は、生徒が自分で考え決断する一つの実践の場だ。自分に適する学科はどこなのか、そこで何を学ぶのか、生徒がしっかりとした認識を持ち決定できるよう、日本大学の講師を招いた講演や生徒の日本大学各学部訪問の機会を多数設けている。また、28種もの体育系、文化系部活動への入部を推進し、その活動の中で共通の目標に向かって先輩、後輩と切磋琢磨する中、生徒間の協調性・連帯感や社会性を育んでいく。
3度目の教育改革―新しい教育の物差しを作る
奥秋先生は、近年のアクティブラーニングへの転換を明治維新、そして第二次世界大戦後に次ぐ3度目の教育改革と位置付けている。「先生方にとっても、いまの転換期は壮大なチャレンジです。自分たちが経験したやり方と全く異なるやり方が求められているので、自分たちもむしろ生徒とともに新しい事を学ばなくてはいけません」と続ける。また、学校が全生徒にとって成長の場であって欲しいと願う。「偏差値はその人の、その時点での、ある集団における相対的位置を示す尺度にすぎない。必ずしも将来を保証するものではありません。偏差値という物差しでは測れない生徒の良さを発見し、引き出し、伸ばしてあげたい」と奥秋先生。将来、ディスカッションやグループワークなど、生徒が能動的に授業に取り組めるような設計を組み込んだ新校舎を建築する予定だ。また新しい教育の在り方を考え形作る、教員主体の研究チームも立ち上げたいと考えている。奥秋先生率いる日大明誠は、未来に向かって歩き出している。
【学校情報】
日本大学明誠高等学校
〒409-0195 山梨県上野原市上野原3200
TEL:0554-62-5161
Fax:0554-62-5160
URL:http://www.meisei.hs.nihon-u.ac.jp/
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【取材ご依頼について】
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リバネス お問い合わせ窓口 [email protected] 担当:前田
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【講演・研修のご依頼について】
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