【教員研修実施報告】2020年のPBL導入に学校現場はどう取り組むべきか 〜世界中で実践されている探究的活動の手法を国際バカロレア校から学ぶ〜
リバネス教育総合研究センターでは、国際バカロレアの視点から見る探究活動をテーマに教員向けセミナーを実施しました。
2020年の学習指導要領改訂にあたって、日本の学校教育ではProject Based Learning(探究的活動)の実施が必須となります。国内ではまだ実施の例が少ないPBLですが、インターナショナルバカロレア(IB)校ではPYP、MYP、DP(日本の小学校、中学校、高校にあたる部分)という形式で、科目を横断した探究活動が以前から行われています。本研修では、3名の特別講師を迎え、IB校での取り組みを参考に、学校で行うPBLへのヒントを学びました。
セミナー概要
日時:2019年9月5日(木)18時〜20時
場所:株式会社リバネス 東京本社・知識創業研究センター セミナー室
(〒162-0822 東京都新宿区下宮比町1-4 飯田橋御幸ビル4階)
費用:2,000円
定員:40名
対象:PBL教育に興味がある先生方、IB教育に興味がある学校経営者、先生方
主催:リバネス教育総合研究センター
スピーカーの方々
後藤貴裕先生
東京学芸大学附属国際中等教育学校 国際バカロレアDP認定校(2015年3月31日〜)
副校長
東京学芸大学附属高等学校大泉校舎及び附属国際中等教育学校において理科(物理)と情報の担当教諭としての25年間を経て,2017年より現職。国際バカロレア認定校である国際中等教育学校では主にMYP理科の授業を担当するとともに,学校設定科目「インフォマティクス」においてPBLに挑戦している。また,スーパーサイエンスハイスクールの主担当としてISSチャレンジ(校内課題研究コンテスト)を立ち上げるなど生徒の課題研究の推進に取り組んできた。教育情報化コーディネータ2級,NHK高校講座「社会と情報」監修講師
「Problem of incorporating the Primary years programme of International Baccalaureate at elemetary school in Japan – Concept and Preparation for utilizing The Course of Study -」開智国際大学 「教職センター研究報告」第2号
「概念的思考とへーゲルの推理論-国際バカロレアの初等教育プログラムの概念的思考の在り方を探究する-」開智国際大学紀要16巻
の著者
安田光里さん
オックスフォード大学3年生
5歳から8歳までシンガポールで過ごし、日本に帰国後東京のインターナショナルスクールに入学。IBディプロマを2017年に取得。高校卒業後、イギリスのオックスフォード大学に入学。現在学部3年生で実験心理学を学んでいる。2019年の夏、リバネスにインターンとして参加。人材開発事業部でコミュニケーションとディベートに関する記事やワークショップを企画している。
【セミナーの流れ】
「主催者の挨拶と研修の趣旨について」/ リバネス教育総合研究センター センター長 前田里美
「開智望小学校におけるProject-based-learning の取り組みについて」/ 学校法人開智学園 開智望小学校 IBPYP コーディネーター 北村 克郎先生
「IBで目指す学びの資質・能力と探究的な学び(Project-Based-Learning)の繋がりと実践報告」/東京学芸大学附属国際中等教育学校 副校長 後藤貴裕先生
「PYP、DPでの学びと経験と大学での学びとの接点」/オックスフォード大学 3年生/安田光里さん
質疑応答
当日の様子
多くの参加者が集まった本セミナー。始めに教育総合研究センター前田から国際バカロレアの全体像をお話させていただきました。 | 北村先生による講義。実際に小学校で授業を担当している先生にもお越しいただき、授業デザインについて教えていただきました。 |
後藤先生による講義。数学の授業で実際に使用したプログラムの紹介もありました。 | 安田さんによる講演。自身の経験を振り返り、いまの自分につながったことを共有していただきました。 |
【参加者の声】
-自分の住んでいる地域で展開されている、探究的な学習活動について知れて、大変興味深かったです。疑問に感じたことを素直に探求できる小学校の課程に羨ましさを感じました。
-小学生でもこれだけのことを考え、更に中学レベル以上の事を理解できていて、子供たちの能力を決めてはいけないことを実感しました。
-子供の学びをデザインするために、問いを作ることの重要さを学びました。
-重要概念の位置付けや、学習指導要領への組み込みがよくわかった。なぜ「数学」を学ぶのか?強化が役に立たないと思う生徒の虚しさが払拭される。
-ユニットプランで概念から探究テーマを設定し、学習を設計していく考え方が勉強になりました。コンテンツベースでの学びから、PBLにいかにシフトするのかヒントを頂きました。
-教員間で授業案を作り上げていくことの大切さ、評価を複数で確認することの大切さを感じました。
-大変整理されたわかりやすい発表で、これ自体が国際パカロレアの成果のひとつと感じました。ご自身の学びを客観的に見て、国際バカロレアの学びを体現していることを伝えていると感じました。
-3名のお話から、教師も生徒もボールを共有することが大切であることを再確認することができました。生徒が自らの学びを活用することができる課題の設定ができるように支援していきたいと思いました。
-探究的な学びは、教員個人では、学年間、学校、指導要領の問題からかなり難しいと思いました。
-教師の考え方の改革(コーディネーター役の必要性)、サポートの部分の時間の確保を考える必要があると思います。
この研修で一番印象的だったのは、国際バカロレアにおける探究活動では、育てたい人材像をゴールに据え、そのための授業デザインを設計することでした。探究活動のための探究活動ではなく、育てる人材を明確にした上での探究活動の設計においては、複数の先生方が時間をかけて練り上げて作る授業デザインや、探究活動の設計のエキスパートである国際バカロレア独自であるコーディネーターの存在が重要であることがわかりました。ただ、研修で学んだことをそのまま取り入れることにハードルを感じている参加者の方々も多かった印象です。本セミナーは導入としての位置付けでした。今後、国際バカロレアの手法を参考にした一条校における授業デザインや評価方法について研修に落としていく予定です。
リバネス教育総合研究センターでは今後も教員向けセミナーを実施していきます。
(リバネス教育総合研究センター センター長 前田)
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本研修に関するお問合せ
リバネス教育総合研究センター 担当:前田、森安
電話:03-5227-4198 E-mail: [email protected]