Hyper Interdisciplinary Conference in the Philippines 2022を開催しました

Hyper Interdisciplinary Conference in the Philippines 2022を開催しました

株式会社リバネスは、2022年11月5日、メトロ・マニラのパサイ市にて、Hyper Interdisciplinary Conference in the Philippines 2022を実施しました。フィリピン貿易研修センターを会場として開催した本大会は、「Data Driven Deep Technology(フィリピンにおける3D:データ駆動型ディープテクノロジー)」というテーマのもと、リバネスの子会社であるLeave a Nest Philippinesが主催するface to faceでのイベントでした。当日は、研究者、ベンチャー、企業など産学官の関係者が合計183名が参加しました。

 

今回のプログラムでは、ヘルスケア、森林、エネルギーなどの技術と、データサイエンスや人工知能などの情報分野の技術を融合して、社会実装を進めるためのコラボレーションやプロジェクト創出を目指したセッションを実施しました。

 

本大会の共催であるバタンガス州立大学とは、アカデミア発の工学関連技術をより多く社会に還元するためのさらなる連携が期待されます。また、フィリピン貿易産業省は、事業展開を進めるベンチャー企業への支援の中でより深く連携が可能です。Leave a Nest Philippinesでは、フィリピン国内の電気通信サービスの主要プロバイダーであるGlobe Telecomとの連携も推進しており、フィリピンのディープイシューを解決できるようなIT関連技術も支援していく予定です。

 

基調講演を行ったバタンガス州立大学研究開発・拡張サービス担当副学長アルベルトソン・アマンテ氏。(セッションの詳細はこちら

 

1つ目のパネルセッションは、メロディ・インターナショナル株式会社をパートナーとして、「デジタルヘルスへの関心:拡大する出生前医療の格差(Tuning-in to Digital Health: Growing Disparity in Prenatal Care)」というテーマで実施しました。メロディ・インターナショナル社が確立した周産期遠隔医療プラットフォーム及びその技術は、安心・安全な出産を支えるためには重要です。フィリピンのイロイロ市で周産期医療に関わるセシリア・デュラ医師は、メロディ・インターナショナルの分娩監視装置 iCTGの導入によって、妊娠中の医療プロトコルがまだ標準化されていないにもかかわらず、妊婦がより積極的に検診を受けることを指摘しました。KARL Group Holdings, Inc.代表のルイス・ロドリゲス氏も、メロディ・インターナショナル社のフィリピン医療機関及び施設への装置導入に対して、同様の利点を挙げ、一方で価格面での導入障壁があることを指摘した。(セッションの詳細はこちら

 

株式会社メロディ・インターナショナルの共同創業者兼CIO、二宮敬二氏による技術紹介

 

2つ目のパネルセッションは、サグリ株式会社をパートナーとして、「サイバーフォーカス・エコロジー:環境アナリティクスによる種子の計画的散布(Cyber-focused Ecology: Mapping the Seeds through Environmental Analytics)」というテーマで、データサイエンスを林業分野への応用可能性を議論しました。ドローンを活用して上空からシードボール(種子を含む土塊)を散布すること森林再生に取り組むフィリピンのベンチャー企業であるGalansiyang Inc.は、株式会社サグリが保有する人工衛星で取得した画像の機械学習による解析技術との連携が、自社の取り組みを持続可能なものにするために必要であると主張しました。また、生物多様性保全のための取り組みを行うNGO、Center for Conservation Innovation Ph Inc.のオリバー・コロサ氏からは、フィリピンの森林再生に伴う課題に対して、両社の技術導入が有効な解決手段になりうることがであることが挙げられました。今後リバネスは、Galansiyang Inc.とフィリピン環境天然資源省と連携して、フィリピンの森林を再生し、持続的に保護することための取り組みの可能性についても議論を交わしました。(本セッションの詳細はこちら

 

環境天然資源省首都圏地域生態系管理専門家のフアン・エンリケ・D・マカレイグ氏による森林保護の説明

 

最後のパネルセッションでは、Zip Infrastructure株式会社をパートナーとして、「AI技術とj評価基準を活用したハイブリッド電力システムの強化(Powering with AI and Metrics: Enhancing Hybrid Power Systems)」というテーマで実施しました。アジアで最も高いエネルギー料金で知られるフィリピンにおいて、エネルギーを効果的に配分されているかを評価する分析技術を有するSOLX Technologiesの取り組みを中心に議論が行われました。東南アジア地域農業大学院研究研究センターのグレン・バティカドス氏や、Challenergy Philippines Inc.のマリア・ダリオ氏からは、エネルギー利用や消費に関わる政府や産業由来のデータ不足を指摘しており、今後の効果的なエネルギー利用には、SOLX Technologies社を初めとする分析技術や評価手法の確立の重要性について指摘しました。(セッションの詳細はこちら

 

(左から)セッションのモデレーターであるLeave a Nest Philippines, Inc.のロネッサ・デロス・サントス氏、SOLX Technologies Inc.の共同設立者兼CEOのセルジアス・サントス氏、東南アジア地域農業研究大学院センター Emerging Innovation for Growth部門のプログラムヘッド、グレン・バティカドス氏、Challenergy Philippinesのディレクター、マリア・ルルド・ダリオ氏。

 

本大会では、研究者やベンチャーによるポスター発表やショートピッチ「テクノロジースプラッシュ」も行われました。参加者は、ショートピッチで興味を持ったテーマのポスター演題について、ポスターセッションコアタイムでより深い議論を交わすことができ、研究者やベンチャー間の交流の場をより活発にする取り組みです。

 

南フィリピン科学技術大学のディオゲネス・パスクア氏にるショートピッチ

 

主に鉄道部品を製造している株式会社カネマサ代表取締役の関根 誠司氏によるショートピッチ

 

本大会後半には、若手研究者向け研究助成金「Leave a Nest Global Challenge Award」の採択者への助成金授与(受賞者一覧はこちら)、フィリピンのスタートアップ各社とリバネスとのパートナーシップに向けた発表を実施しました。

既にパートナーとしての取り組みが多数のフィリピンの教育ベンチャーWela Online社ニック・ペイラ氏によるプレゼンテーション

SOLX Technologies(左)、Galansiyang inc.(右)の2社とのパートナーシップに向けた発表の様子

 

本大会実施にあたり、共催のバタンガス州立大学、総合パートナーの株式会社フォーカスシステムズ、セッションパートナーのサグリ株式会社、メロディ・インターナショナル株式会社、Zip Infrastructure株式会社、出版パートナーのセントラルビコール州立農業大学、メディアパートナーとして、 BusinessWorld、WhenInManila、ABS-CBN Newsの皆様にご協力いただきました。

 

今後も、フィリピンのみならず、日本、東南アジア、そして世界の産学官のさまざまなステークホルダーとの連携の形を生み出してまいります。フィリピンにおける課題解決や新たな事業展開に関心のある方は、是非お問合せください。

 

本件及びフィリピンでの取り組みに関するお問い合わせは、以下のコンタクトフォームをご利用ください。

https://global.lne.st/contact/

 

<参考記事>

HIC PH 2022とLeave a Nest Philippinesについて

東南アジア各国での超異分野学会について