ろうそくでできたひんやりお化け屋敷!?

ろうそくでできたひんやりお化け屋敷!?

ぼくが棲むこの屋敷。太陽がじりじりと照りつく真夏日にもかかわらず,中はひんやりと涼しい。理由は日陰だからだけではないさ。さあ,入っておいで。背筋がぞくっとするような秘密を,教えてあげる。(someone賞2012夏対象記事)

変身の術に潜む熱

物質を熱すると,固体,液体,気体と変化する。しかし,温度の変化は常に一定ではない。たとえば氷を加熱すると,融けて完全な水になれば温度が上がり始めるが,融けている間は融点である0℃のままだ。これは,固体が熱エネルギーを吸収しながら液体になるため。「潜熱」とも呼ばれ,物質によって吸収できる潜熱量は異なる。この現象を応用したのが,ケーキを買うとついてくる保冷剤。凍った状態から溶けるまでの数時間,低温を保ち続けることができる。

ケーキだけじゃない,家も冷やすぞ

潜熱量が多い物質として,ろうそくの原料でもあるパラフィン(分子式:CnH2n+2)がある。しかも,炭素原子数を14 から28 に変えると,4℃から60℃の間で融点が変化するというおもしろい特徴を持つ。たとえば16 個の炭素原子を持つパラフィンの融点は18℃となる。
これを,ケーキの箱に保冷材を入れるように建物の天井裏などに潜ませることで,暑い夏にも涼しさを感じることができる。しかしパラフィンは,融点を超えた温度では融けて流れ出してしまうのが難点。そこでJSR 株式会社の研究者たちは,解決方法を探すことにした。あるとき,ある高分子量の物質をほんの少し混ぜることで、高分子の網目構造にパラフィンが閉じ込められ,融点以上でも流れ出さないゼリー状の素材ができることを発見した。さらにその新しい素材は,同様にパラフィンを使ってつくったほかの素材よりも潜熱量が40 ~ 100% も高く,従来より少ない量で同じ効果を発揮できるようになった。そこで,エネルギー量を表すカロリー“CAL” を捕まえる“GRIP” 性能を持つという意味で「CALGRIP」と名付けられた。
エアコンを切ったあとも部屋を涼しく保つCALGRIP のエコお化け屋敷。キミも住んでみたくないか。(文・高橋 良子)

協力:JSR株式会社 http://www.jsr.co.jp/

 

 

 


水の保冷剤で実験してみよう!

食品を冷やすために使われている保冷剤の主成分は水ですが,高吸水性ポリマーがほんの少し含まれています。これを使って実験をしてみましょう。
①水,塩水,保冷剤を用意します。それぞれ,何℃で凍るでしょうか。
②水や保冷剤の凝固点をさまざまに変化させてみましょう。
※実験のあとは手を洗い,保冷材が口に入らないようにしましょう。また,使用後は袋に入れて燃えるごみとして捨てましょう。

◆someone賞の詳細についてはこちらをご覧ください。
http://someone.jp/someoneaward01/ 

 <研究課題テーマ一覧>
水の保冷剤で実験してみよう!
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