本物との出逢いをつくるコーディネーター【同志社女子中学校・高等学校 高山 美保 先生】

本物との出逢いをつくるコーディネーター【同志社女子中学校・高等学校 高山 美保 先生】

同志社女子中学校・高等学校の理科授業の特徴は、理科教員一人一人が独自の取組みを導入していることだ。

高山美保先生は今年の新しい試みとして企業と連携し、先端の研究ツールを活かした科学実験と、企業研究者のキャリア講演を取り入れた、新しい授業を実施した。

独自の工夫で興味を引き出す

同志社女子高等学校では、理科の授業が週に4コマ以上あり、実験や体験を多く取り入れている。とくに高山先生が独自で行っているのは、自らが大学院で研究していた、「カタツムリの求愛行動における進化」の紹介をすることだ。

学会発表に用いた動画を生徒に見せて、「研究の世界」への興味を引き出すことで、理科授業全体のモチベーションを高めている。

また高校3年の選択教科の生物特講では全員がマウスの解剖を行い、骨格標本を完成させる。工程を細かく写真やスケッチで記録させるが、細かい形式は定めず生徒個々人の裁量で自由にまとめさせる。

小さな命からできるだけ多くのことを感じ、徹底的に学び尽くすのがねらいだ。

企業が開発した研究ツールを活用

今年は新たに、DNA鑑定実験を実施した。参加したのは、多くが医歯薬系方面への進学を目指す理系コース1年生の希望者18名。

慣れないマイクロピペット操作に四苦八苦しながら、卓上遠心機や電気泳動槽など先端の実験機器を扱った。さらに研究現場で使われているカネカ社製の「D-QUICK」(ピペットチップ型増幅判定ツール)も活用した。

これにより、PCRとゲル電気泳動という通常5時間以上かかる工程を3時間に短縮することができた。

「研究者向けに開発されたツールでも、D-QUICKのように作業が簡易なものは、これからも授業で使っていきたい。」と高山先生は新しいツールの導入に積極的だ。

未来をイメージさせるキャリア講演

今回の授業の参加者は、将来研究者を目指す生徒も少なくない。そこで授業と並行して、企業から招いた女性研究者によるキャリア講演を行い、研究者を目指した理由や研究内容について生徒に語ってもらった。

高山先生は「研究は自由な発想で取り組んでいいのだと知れば、今後の課題研究にも生きてくるはず。」と語る。

今回の取り組みは、12月に行われる発表会「サイエンス・キャッスル」で生徒自らが発表する。こうしてさまざまな良質の経験を積ませることが、自ら考え、行動し、発信できる人材の育成につながる。

これからも、教壇に立ち生徒に教科書の内容を教えるだけではなく、自ら考え行動し、外部と学校現場をつなげるコーディネーターとして、高山先生の挑戦は続くのだろう。