人類は水面を走れるか?

人類は水面を走れるか?

 

ウサイン・ボルトの如く早く走れるともしかすると水面を駆け抜けることも出来るのではないか?と思ってしまいます。
はたして、人は水面を走ることが出来るのか?
そんな疑問をテーマにした研究がイタリアで行われました。

足のある生き物で水の上を走る事ができるのはアメンボや水鳥など、ほんの僅かです。
その中にトカゲの一種のバシリスクがいます。
後ろ足二本を使って、沈むより前に水面を駆け抜けていきます。
水面を沈まずに走るためには、体重を支えるための力を水面から得なければいけません。
より大きな力を得るために重要なのは、水面を叩く速さと、水面を叩く足の大きさです。
バシリスクは1秒間に8回という驚異的な速さの足の回転から水面を叩く速さを高め、水面を走ることを可能にしています。
一方、人が沈まずに水面を走るためには秒速30メートルで水面を叩き続ければいいという計算結果がでています。


しかし、これは人間が発揮できるの15倍の力に相当するため、どうやらこのままでは水面を走る事は難しそうです。
そこで、今回イタリアのチームは、重力が小さい=体重が軽くなる世界では水面を走れるのかということを調べました。
人の体をワイヤーで吊り下げ、簡易的に重力が少なくなる装置で実験と流体力学のモデルによるシミュレーションを使って調査を行いました。
その結果、重力が地球の22%程度の世界では人間の足の大きさと脚力でも水面で人の体重を支えることが出来ることが明らかになりました。
つまり重力が小さい世界では人が水面を走れることを実証したのです。

月の重力は地球の6分の1。
将来、人が月に住んだら人工の水面をバシリスクの様にパシャパシャと走り抜けて遊んでいるかもしれませんね!

PLOS ONE Humans Running in Place on Water at Simulated Reduced Gravity