ハクサイを安定生産する技術に一歩近づく
「え、ハクサイが500円!?」
今夜は冷えるし、みんなで鍋でもしようと八百屋に行ってみたら、びっくりするほど高かった。
私は鍋をするときにハクサイを欠かさず入れたいのですが、生産量が安定せずに少なくなると、価格が高くなり困ってしまいます。
今回、ハクサイの安定生産につながる技術が開発されたので紹介します。
ハクサイを安定的に生産するには、天候以外にも病気に強いことが重要視されています。
それは根こぶ病という厄介な病気があるからです。
この病気にかかると根にコブができるだけでなく、葉がしおれ、ひどいと枯れてしまいます。
さらに厄介なことはコブの中に休眠胞子をつくることです。
休眠胞子は土の中でなんと10年以上も生きるため、何度も病気が発生してしまうのです。
そのため病気が発生した畑には抵抗性(病気にかかりにくい性質)を持つ品種を植えて対策をしてきました。
この度、農研機構の野菜茶業研究所では、同じアブラナ科であるカブの染色体のうち、根こぶ病に抵抗性を与えるとされるCrr1という領域に注目しました。
この領域にはいくつかの遺伝子があり、その中の1つが抵抗性に関わると考えました。
今回、その領域の遺伝子を、根こぶ病にかかりやすいタイプのシロイヌナズナやコマツナに遺伝子組換えによって1つずつ導入しました。
その結果、Crr1a遺伝子を導入したとき、抵抗性を持つことがわかりました。
これまでは、抵抗性の高い品種を調べるのに、わざと病気にし、抵抗性の有無を調べる方法を行う必要があり、手間と時間がかかりました。
しかし、今回の発見により、苗の状態でDNAがCrr1aを持つかどうかを調べるという簡単な方法で抵抗性を調べられるようになったのです。
Crr1aを持つハクサイを効率的に探しだすことができれば、安定的に生産することに一歩近づきます。
記事を書いていたら、お腹がすいてきました。
今夜は少々値が張りますが、予定通りハクサイの鍋にしようと思います。いつでも安くハクサイを手に入れられたらいいですね。
食料を安定的に供給していく上で遺伝子組換え技術を上手く使い、より良い品種の育成を目指している点が非常に面白いと感じました。(宮内 陽介)
参考:農研機構プレスリリースPDF http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/files/vt_press_20130131.pdf