【読み物】 ICT教育を積極的に取り入れた 先に見えてくるもの(vol.19)
日本の中でもICT機器を用いた教育が特に進んでいる広尾学園中学校 高等学校で開催された、「広尾学園×iPad×ICT教育」カンファレンス2013に参加してきました。iPadやMacBookを使用した公開授業や教室運営を見学し、学校の中にこんなにも自然にICT機器が導入され自然に使われていることにとても驚かされました。今回はそんな広尾学園でのICT教育を紹介します。
世の中には教材があふれている!?
今回の公開授業は英語、地理、歴史、理科などの一般的な科目から、医進・サイエンスコースの研究発表まで様々な分野に渡りました。地理のテーマは「プレーリー」について。生徒たちはそれぞれがiPadを使いこなしGoogleEarthという地図アプリでアメリカ大陸を拡大し、茶色い大地にいくつもの丸い緑の畑「センターピボット」を発見しました。また、理科では「酸と塩基の水溶液中の分子平衡」をシミュレーションするために、「p H スケール(http://phet.colorado.edu/ja/)」を使っていました。英語では教科書に出てくるスキット(寸劇)を実際にチームで演じ、iPadで動画に残して自分の発音を振り返っていました。どれも既存のアプリやウェブコンテンツを使っていますが、ICT機器を活用し、教員それぞれのアイデアを付け加えることで、無限に新しい教材を作ることができるという印象を受けました。
クラス全員がメールやサイトでつながる!?
広尾学園ではコミュニケーションツールとしても積極的にICT機器を使用しています。生徒たちは学習の記録を用いて、自らの学習時間を自分で管理し、その状況を教員とも共有しています。またGmailを使って連絡のやり取りをしています。その中でも特に注目を引いたのはクラス内の情報を共有するために使用している「Googleサイト」です。このサイトの特徴は教員だけではなく、生徒も一緒に編集することができることです。クラス通信等で先生が発信していた内容や、各委員会の生徒が発信していた内容がまとめられ、随時更新され、誰もが自由に情報を発信し、確認することができるようになっていました。メールとサイトの積極的な活用で生徒と教員の新しいコミュニケーションが生まれています。
ICTは触媒!?
広尾学園では生徒や教員にとって学びや生活の新しい強力なツールとしてICT機器が浸透していますが、今まで通りの学びのスタイルも変わらずそこにありました。
最後のセミナーで聞いた「教育界にICTが導入されることで、今まで以上に教育の本質が求められる状態へと移行していく。ICTの導入はその変化の活性化エネルギーを下げる触媒としての役割を果たす。今後の教育では、現場にしかできないものがより一層突き詰められていくことになる。生徒に集中し、授業に集中し、社会のニーズを知り、教員は今こそ我々にしかできないことをやっていきましょう」という先生の言葉がとても印象的でした。
カンファレンスを通して、これまで
の授業を否定するのではなく、ICTを
「教育の本質を捉えるもの」として使お
うとする広尾学園の思いを感じまし
た。これからどのようにICTが教育界
に取り入れられるのか、期待大です!