西のカエルが東のカエルを救う!?

西のカエルが東のカエルを救う!?

「隣のクラスのイケメン、聞いてみたらハーフらしいね。」
グローバルな世の中になり、国際結婚も増えてきた現在ですが、自然界でもこれまで出会わなかった生き物どうしが出会うことが増えています。
外来生物は生態系を破壊すると危惧されていますが、今回、地域古来の生き物が外来生物によって助けられている可能性があるという発表がありました。
東京には、東日本在来のアズマヒキガエルと、人の手によって西日本から移入したと言われる外来性のニホンヒキガエルが生息しています。
これらのカエルは生態的地位(ニッチ)が近いことから、個体群の生態に影響が起こることが予想されます。
2種類のカエルは鼓膜の大きさにより見分けることができますが、東京ではアズマヒキガエルの形態がニホンヒキガエルに近くなっていることが知られていました。

各地で採取したヒキガエルのミトコンドリアDNAの構成。 本来がアズマヒキガエルの生息域である東京エリアで、ニホンヒキガエルからのミトコンドリアDNAの割合が大きい。

各地で採取したヒキガエルのミトコンドリアDNAの構成。
本来がアズマヒキガエルの生息域である東京エリアで、ニホンヒキガエルからのミトコンドリアDNAの割合が大きい。

東京大学の嶋田教授らがDNAで近縁性を調べると、予想通り、アズマヒキガエルにはニホンヒキガエルの遺伝子が混ざっていることがわかりました。
これはアズマヒキガエルとニホンヒキガエルの交雑が起こり、生態系への影響が出ていることを示しています。
しかし、驚いたことに、このニホンヒキガエルの移入による交雑は、アズマヒキガエルにとって必ずしも不幸ではなかったようです。
実験室で、孵化からの生存率を調べてみると、これらのカエルのオタマジャクシは、普通のアズマヒキガエルのオタマジャクシよりも高い生存率を示したのです。
これはニホンヒキガエルの助けを借り、より環境に適応した進化を遂げたことを示唆しています。
混血により、生命力が増したというこの発見は、進化の歴史の自然選択を彷彿とさせます。
子孫を残すための生き物のたくましさが垣間見えますね。

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独特の風貌と動き方をするカエルは、世界でも生物の多様性の指標とされている生物です。
環境に応じて生き残る術に長けているのかもしれませんね。