知財file ~魚類のためのバイオセンサ~

リアルタイムな魚の健康管理に期待 

※本技術にご興味をお持ちの方は、最下段に記載されている問い合わせ先までご連絡ください。

 

マグロの完全養殖技術が確立されるなど発展が目覚ましい養殖産業。従来の養殖技術では、抗生物質等を多用することで病原体からの感染を防御してきました。しかし、食の安全に対する要求が高くなる中で、抗生物質の使用量低減は改善すべき課題であり、魚の健康管理が重要となっています。

東京海洋大学・生体利用機能学研究室の遠藤英明教授、米森雄輝さん(当時、博士前期課程2 年)が開発したバイオセンサシステムは、魚類のストレス指標となり得る血糖値や抗病性の指標となるコレステロール値を陸上にいながらにしてリアルタイムにモニターすることが可能な画期的技術です。

マイクロアレイや免疫学的診断キットなど、その場での測定ができない従来の健康診断技術に比べ、魚の健康管理の利便性が飛躍的に向上します。リアルタイムに魚の状態を把握することで、適切に健康管理ができるだけでなく、効果的な給餌など、これからの養殖技術をさらに発展させるものと期待されます。

 

■発明の概要

直径0.2 mm 程度のバイオセンサを魚の眼球外膜内部に存在する間質液に挿入・留置することで、血液中のグルコース濃度を反映する間質液中のグルコース量を測定することができる。

これを魚体に装着したワイヤレスシステムで陸上に送信することで、リアルタイムに血糖値をモニターすることができる。

 

■発明の効果

本発明は、魚類の血糖値をリアルタイムで測定可能なバイオセンサシステムであり、魚類のストレス指標となり得る血糖値の陸上でのモニタリングは、水産養殖場や水族館における魚類の健康管理に有用である。またセンサの種類を変えることにより、コレステロールや乳酸など他の指標物質の測定にも対応可能である。さらに、このような魚類の生理状態を反映した物質濃度を指標に魚類の生息する水質環境のモニタリングに応用可能である。(特許第49101557 号、特許第5017652 号)

 

お問い合わせ

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