日本版NIHとは何かを3行で
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「日本版NIH」という言葉が飛び交っている昨今。自分には関係ないやと思ってはいやしないだろうか?そんな人にも知っておいて欲しいので3行にまとめると
- 健康医療分野の研究を統括し、複数省庁から成る研究予算請求を一元管理する司令塔機能
- 基礎研究そのものよりも、病気の予防・治療などの臨床応用に成果を生かす「トランスレーショナル・リサーチ」を重視
- 国際競争力の向上を謳うが現実的にはアメリカ本国NIHの予算規模の10〜20分の1の予算しか持たない
そもそもNIHとは何か
National Institutes of Health (NIH)
アメリカ国立衛生研究所 – Wikipedia
アメリカ国立衛生研究所(アメリカこくりつえいせいけんきゅうじょ、National Institutes of Health、NIH)は、アメリカ合衆国の保健福祉省公衆衛生局の下にあり、1887年に設立された合衆国で最も古い医学研究の拠点機関。本部はメリーランド州ベセスダに置かれている。Institutesと複数形であるように、国立癌研究所、国立心肺血液研究所、国立老化研究所、国立小児保健発達研究所、国立精神衛生研究所など、それぞれの専門分野を扱う研究所と、医学図書館などの研究所以外の組織、合わせて全部で27の施設と所長事務局によって構成されている。1万8000人以上のスタッフのうち6000人以上が科学者(医師、生命科学研究者)である。
昨日書いたアメリカの2014年度予算の中にも出てくるNIH。
申請予算は1.5%増の313億ドル。すさまじい規模です。
経済界vs研究界の様相
- 経済同友会の声明:日本版 NIH(日本医療研究開発機構)の実効ある運営に向けて (PDF)
- 関連学会の合同声明:健康医療分野における研究助成のあり方について(緊急声明)(PDF)
経済界側の主張は
Translational Medicine と呼ばれる「研究と臨床応用・市場化をつなぐ」部分を、新独法の活動の中 核とすべき
一方学会側は、基礎研究も応用研究も同等に必要であり、そのバランスを欠いては科学の発展は成立し得ないと考えると表明。関連情報に乗せた日経の記事では利根川 進先生が日本版NIHは基礎研究には自殺行為とまで言って懸念を表明している。
研究者側の懸念については大隅先生(日本分子生物学会理事長)のブログから
いわゆる「科研費」は研究者の自由意志に基づくボトムアップ型研究費の典型であり、現在、文科省の管轄である日本学術振興会(JSPS)が、学術研究助成基金および科学研究費補助金としてその運用を行なっています。
これが「日本版NIH」予算に組み込まれることになると、いわゆる「出口を見据えた」研究でないと、採択されないのではないか、という懸念があります。(via 2013/6/1 「日本版NIH構想」じゃぁだめでしょう 大隅典子の仙台通信)
同ブログには、日本版NIH設立によって色々な無駄が発生するのでは?という懸念も出ていますね。
先ほども触れた昨日書いたアメリカの2014年度予算の中でも書いたのですが、NIHの予算請求は基礎研究に対する投資額が増えているんですよね。利根川先生が「NIHを勘違いしている」というのも頷ける感じになっています。
それなりの予算を投下するのであるから経済によりインパクトのある施策を求める経済界と、学術ってのはそういうもんじゃぁないんだよという学会。はてさて、どうなりますか。
関連情報
2013/11/19 0:23利根川氏、日本版NIHを批判 「基礎研究には自殺行為」 日本経済新聞
2013/6/1 「日本版NIH構想」じゃぁだめでしょう 大隅典子の仙台通信
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