雌は近くにいる雄を好きになる?
研究室配属前の私は、論文とか読みながら色々自分の興味の範囲を広げています。
東大のホームページを見ていたら、面白そうな研究を発見。
今日はその論文についてレポートしたいと思います。
恋ごころスイッチにビビっときた
男女は職場や学校で席が近かったことをきっかけに付き合うという話を聞いたことはありませんか?
このような、近い存在の異性や恋愛対象になる個体を好きになるという事実は、全ての生物において成立すると一般的に言われています。
で、今回読んだ論文↓
メダカはずっとそばにいてくれた異性に恋をする~ 恋ごころスイッチの発見 ~
恋ごころスイッチとは、胸アツ!
メダカにあるならヒトにもあるんでしょうか?
モデル生物とか、授業で学んでいる身としてはそう短絡的に考えているんですが、ほんと?
(教えて、ここら辺が専門の研究者さん)
論文の概要
論文はもっとも権威ある科学雑誌の一つ、「Science」に掲載されています。
Teruhiro Okuyama et al.
A Neural Mechanism Underlying Mating Preferences for Familiar Individuals in Medaka Fish
Science 343, 91 (2014)
以下プレスリリースのまとめから、この研究でわかったこと
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メダカのメスは性行動の前に「そばにいたオス」を目で見て記憶し、積極的に性的パートナーとして選択することを発見した。
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性的パートナーの選択の際に、中心的な役割を果たす分子や神経細胞を世界に先駆けて同定した。
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メダカの基礎研究からヒトの恋愛感情や他者を区別して記憶するための分子神経機構の進化的なルーツを探れる可能性が拓けた。
このまとめにはないんですが大きく納得したところがあって、全く面識のない個体が近くにいた時にはホルモンの分泌がなされないってところです。
人間の世界では、大体親密になったから恋人関係が始まるわけですし、案外これってユニバーサルな仕組みなのかもしれませんね。
どの位親密だったらホルモン分泌がされるんでしょうね?
プレスリリースにある以下ですが、
メダカの「恋ごころスイッチ」と同様の機能を持つ神経細胞をヒトの脳で探すことで、将来的にヒトが恋に落ちる仕組みがわかるかもしれない。
案外どれほど雄雌のメダカが親密になったらホルモン分泌が起こるのかが判明すれば、恋心スイッチが実社会で活用できるようになるかもしれません。
ヒトに利用するのはまだまだハードル高そうですが。
P.S.
論文を理解するための私なりのメモ
さらします。
この論文では終神経性腺刺激ホルモン放出ホルモンに着目しています。
特に交流のない雄のメダカに対しては、雌のメダカは上のホルモンの分泌が抑制されます。
これを筆者はdefault modeと呼んでいます。
default modeの時は雄からのアプローチを拒否しているのだとか。
普通の状態で雄からアプローチを拒否とは、ツンデレで言うところのツンが普通ということですね。
対して
仲のいい雄のメダカに対しては、ホルモンの分泌が促進されます。
これを筆者はpreference modeと呼んでいます。
preference modeの時は雄からのアプローチを受け入れるのだと。