公文国際学園高等学校で出前研究教室を実施しました

公文国際学園高等学校で出前研究教室を実施しました

 公文国際学園高等学校(学校長 梶原 晃)において、2018年6月24日に出前研究教室を実施しました。今回の教室は、高校1年生・2年生28名を対象に、「フナムシのDNA系統解析実験に挑戦!〜わずかな違和感を見逃すな〜」というテーマで実施しました。

 

 生物の設計図であるDNAはA、T、G、Cという4つの記号で表現される塩基対の組み合わせで構成され、その違いが種や個体の差となって現れます。DNAを解析することで、見た目の形態からは区別がつきにくい生物も同種か否かの解析が可能になります。今回は形態観察による解析(形態解析)とDNAによる種の解析(DNA系統解析)を通して、DNA解析の基礎を学ぶと同時に、研究対象のわずかな違いから生まれる「違和感」に注意することの重要性に注目して研究に取り組みました。

 

 今回、研究の対象としたのは「フナムシ」です。フナムシとひとくくりに呼ばれますが、日本には8種存在し、本州にはフナムシとキタフナムシの2種が存在します。研究教室では、まず相模湾と東京湾の計4箇所で採取したフナムシの形態観察を行いました。図鑑に載っているフナムシとキタフナムシの特徴からサンプルのフナムシがどちらの種類に属するのか調べましたが、特徴である触角が欠損していたりと同定は難しいという声が上がっていました。

 

 形態解析だけでは種の同定が難しいということを体験した後に、フナムシのDNA系統解析を講義で学び、DNA抽出・PCR実験を行いました。慣れない操作に緊張する中、マイクロピペットを使って溶液を量りとり、初めて行う内容を理解しながら実験に取り組み、最後にDNAのバンドが見えた瞬間には歓声があがっていました。

 

 最後にイネの遺伝子について研究をしていた講師より、自身が研究を行っていたときの体験談として、わずかな違和感を見過ごしてしまったために、研究する時間を無駄にしてしまったことを語りました。そして、形態観察やDNA系統解析など研究をする際は、もしわずかな違和感に気付いたのならば、それを放置せず、徹底的に調べることの重要性について語りました。

 

〔参加した生徒の感想〕

研究については、意外と自分でもできそうだなという風にイメージが変わりました。

・自分の進路などを考える時、イメージできなかった大学生の自分がイメージできた。

・〔研究者は〕話通じない系の人だと思っていましたが(ごめんなさい)、すごくわかりやすく話してくれましたし、楽しかったです。

・最初は少し面倒だなーとか思っていたけど、実際はすごく楽しくて時間が過ぎるのがすごく早かったです。ありがとうございました!!

 

〔参加したスタッフの感想〕

 初めて見聞きする装置や試薬ばかりで、はじめは戸惑っている様子でしたが、一つ一つ意味を説明することで次第に、自発的に実験を進め出す姿がとても印象的でした。意味を理解しながら実験に取り組むことで、操作や実験結果に対する、疑問や「違和感」を感じる出発点に立ってもらえたのではと思います。

〔当日の写真〕

〔概要〕

日時:2018年6月24日(土)10:00-14:00

会場:公文国際学園高等学校

対象:高校1年生・2年生 28名

主催:株式会社リバネス

テーマ:DNA抽出、系統解析