熊本県立熊本高校と探究活動の指標としてワクワク研究を開始

熊本県立熊本高校と探究活動の指標としてワクワク研究を開始

株式会社リバネス教育総合研究センターでは、社会心理学者の正木郁太郎氏(東京大学研究員)、熊本県立熊本高等学校と共に、探究活動におけるワクワク研究(ワクワク測定とその評価系の開発)を開始しました。

熊本高校では、2019年度4月から総合的な探究の時間に「社会課題に豊かな感性と知性で立ち向かうグローバルな人材」になることを目指して、新しい探究活動の授業を実施しています。探究活動は、1年間をかけて実施され、前半では個人の興味関心に基づいて課題を設定し調査を行い、後半ではグループで課題を選定、課題解決のための情報収集や解決策のプロトタイプ作成を行いました。

本取組みでは、探究活動を含む学校での活動を通した生徒たちの変化を可視化することを目的に、探究活動の前半(2019年7月)と後半(2020年3月)にオンラインによるアンケート調査を実施しました。これにより、生徒のワクワク度と行動の変化の他に、探究活動に対する認識、興味関心の内容、自己効力感、自己肯定感、知的好奇心などの項目を計測しました。

 

結果を分析したところ、探究活動に関する生徒の達成度と教員の熱意やフィードバックとの相関など、1年を通してのワクワク感から起こる行動の変化などが見えてきました。

 

一例として、探究活動などを通じて社会問題の解決に関する関心だけでなく、自分の将来についての関心や、情報収集をすることの関心も高まったことがわかりました(表)。このことから仮説検証のプロセスを経験し多面的なものの見方を身に付けることでワクワク感が高まったと推測されます。

 

今後は、行動力や主体性の異なる母集団間での比較や、教科学習と探究活動や芸術、スポーツなどへの関心との関係性を分析する予定です。また、今回の調査結果などに基づいたプログラムの改定とその効果測定を行い、より良い学校の取組みに繋げて行きます。

リバネス教育総合研究センターでは、2020年度も引き続き、熊本県立熊本高等学校と連携して、探究活動の効果測定とプログラム開発に取り組んで参ります。

 

熊本県立熊本高等学校

創立120周年に迎える熊本県内の公立高校。建学の精神である「士君子」の養成を教育目標とし、徳性、智能、体力ともにすぐれた人物を養成することを方針としている。令和2年度WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム採択校。

 

正木郁太郎氏
東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。博士(社会心理学)。2019年まで、東京大学大学総合教育研究センター特任研究員を務めた。2020年3月現在、東京大学大学院人文社会系研究科研究員のほかに、成蹊大学非常勤講師など。また、人や組織を対象とした研究で個人事業主としても活動し、企業のアドバイザーなどを複数兼務している。企業や学校の「現場」の問題関心と学術研究の橋渡しとなることを目指している。

 


本件に関するお問合せ:

株式会社リバネス 教育総合研究センター 担当:前田、森安
電話:03-5227-4198   メール:[email protected]