メンターによるファシリテーションタイプに関する研究を実施しました。

メンターによるファシリテーションタイプに関する研究を実施しました。

株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役副社長CTO:井上浄)は、小中学生のための研究所「NEST LAB.」の活動において、グループワーク時のメンターのファシリテーションのタイプについて研究を実施しました。ハイラブル株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役:水本武志)の会議定量化サービス「Hylable Discussion 」を活用し、メンターの介入による、子どもたちの会話の変化を分析しました。リバネスは今後、この研究から明らかとなったメンターのファシリテーションのタイプおよびその特性を活かし、探究活動のプログラム改良や、その活動をサポートする研究メンターの育成系を確立し、学校現場等へ導入していく予定です。

実施背景

近年、教育現場では児童・生徒らによるグループ単位での主体的な話し合い活動の重要性が増しています。そこで、株式会社リバネスでも、小中学生の教育プログラムにおいては、4〜8人からなるグループを活動単位として、チームでの研究活動やディスカッションを積極的に取りいれています。しかし、同時並行で進む複数のグループの活動の様子を、常に把握することは難しく、先生方や研究メンターの課題となっています。また、客観的なコミュニケーションの計測方法が存在しないため、その評価や技術向上は個人の経験や勘、主観に頼らざるを得ません。
そこで、小中学生のための研究所「NEST LAB.」の活動において、音環境分析技術を開発するハイラブル株式会社のサービス「Hylable Discussion 」を活用し、音声によるコミュニケーションを定量化・可視化し、研究メンターのファシリテーションについて分析を行いました。
なお、本取り組みは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)が推進する、将来の科学技術イノベーションを牽引する傑出した人材の育成を目的として、高い意欲や突出した能力を有する小中学生を発掘、その能力を伸長させることを目的とした「ジュニアドクター育成塾」にも活用し、プログラムやメンターによる指導の向上にも役立てています。

 

研究概要・結果

NEST LAB.に参加する小学5年生から中学3年生までの児童・生徒を、4-8人の研究チームに分けて各チームに研究メンターを配置し、研究計画を立てるディスカッションを行いました。グループディスカッションは、メンター介入前の条件とメンター介入後の条件でそれぞれ行い、総発話量(話した時間量)・最大発話長(一度に最も長く話した時間)・ターンテイク(話しかけた相手とその回数)の変化を分析しました。
その結果、総発話量とターンテイクの2つの観点において、研究メンターのファシリテーションのタイプを4つに分類できることが明らかとなりました。

<総発話量の観点での分類>
• リード型:メンターが子供を自らリードして発話する
• バランス型:メンターの参加によって子供の発話量が平等になる
• 発話促進型:メンターの参加によって子供の発話が増える
• 特性強調型:メンターの参加によって発話量の差が明確になる

研究メンター介入による変化の例

<ターンテイクの観点での分類>
• 全体促進型:グループ全体のターンテイクが増える
• 一部促進型:グループの一部のターンテイクが増える
• 1人対話型:メンターとある1人だけのターンテイクのみが増える
• 個別対話型:メンターと各子供のターンテイクが増え、子供同士のターンテイクは増えない

研究メンター介入による変化の例

また総発話量においては「発話促進型」や「バランス型」のファシリテーターが、ターンテイクの観点においては「全体促進型」や「一部促進型」のファシリテーターが、活発なディスカッションを展開できたという自己評価しやすい傾向がありました。しかしながら、そのグループのディスカッションの成果を客観的、定量的に評価することは未だ難しく、今後のさらなる研究が必要です。

今後の研究について

今回の研究では、研究メンターのファシリテーションを定量化・可視化することで、いくつかのタイプに分類できることが明らかとなりました。今後は、この研究メンターのファシリテーションのタイプによって、各グループの研究活動や、グループ内の児童・生徒間のコミュニケーションに変化があるか等を検証していきます。また、ディスカッション後の活動の様子から、研究活動における受講生の主観的満足度にも影響がある可能性があるため、合わせて検証をしていきます。
さらに、研究テーマの分野や生徒の性格特性との関連についても着目をしており、チームで1つの研究成果を出していくライフサイエンス分野と、1人1人が独自に開発を行って、チーム内で成果を比較し合うようなロボティクス分野の活動では、適したメンターの介入方法に違いがある可能性も考えられます。こうした観点についても継続して実証研究を推進するとともに、より詳細な解析を行っていきます。

リバネスではこれらの研究結果をもとに、探究活動の新たなプログラム開発や、その活動をサポートする研究メンターの育成系を確立し、学校現場等に導入していく予定です。
本研究活動や教育プログラム開発にご興味をもった学校や企業等の方々はお気軽にお問い合わせください。

 

<お問い合わせ先>
株式会社リバネス
教育総合研究センター/研究キャリアセンター
NESTプロジェクト 担当:河嶋・立花
MAIL:[email protected]/TEL:03-5227-4198

<ハイラブル株式会社について>
音声によるコミュニケーションを定量化・可視化し、人類のコミュニケーションをより豊かにすることを目指して事業を展開しています。2017年に対面の話し合い見える化サービス「Hylable Discussion」を、2020年にWeb会議の見える化サービス「Hylable」を開発し、量的データや心理尺度に基づいた会話の評価・技術の向上を実現するプラットフォームを構築しています。

代表:代表取締役 水本武志
設立:2016年11月21日
ウェブ:https://www.hylable.com/