【実施報告】オンラインセミナー「嗜好品5.0 〜その定義から未来へ〜」の第三回を開催しました

【実施報告】オンラインセミナー「嗜好品5.0 〜その定義から未来へ〜」の第三回を開催しました

 株式会社リバネスと日本たばこ産業株式会社は、全4回にわたるオンラインセミナー「嗜好品5.0 〜その定義から未来へ〜」を開催しております。

 

これまでの第一回第二回の議論から、嗜好品は、物質による精神的効果を有するだけでなく、経験と学習によって感じとれる独特な味や香りが存在し、そしてそれらを自身で選択とカスタマイズできることで、「自分だけの特別なひととき」を生み出し、心の健康を保つものであるという側面が見えてきました。

 

第三回となる今回は「嗜好品と社会」と題し、滋賀大学教育学部 准教授 / 株式会社イブケア 取締役の大平雅子氏をお招きして、人と社会との関わり合いの中で嗜好品が与える作用を議論しました。

 

冒頭、志方氏から、嗜好品は、社会の中で「自分自身を取り戻す」実感を提供することにより、人々の心の健康を保ち社会に余裕をもたらすアイテムなのではないか、という仮説が示されました。2015年の京都大学霊長類研究所の研究から、社会的動物であるチンバンジーが、自然発酵によりビールと同程度のアルコールを含む「ヤシ酒」を習慣的に飲む行動が観測されたそうです。一方で、単独で生活するオランウータンはアルコールを含むものを摂取しないと言われています。このことから、社会があるからこそ、嗜好品が必要であるという可能性が示唆されます。志方氏からは、静的な社会の枠組みや決まりごとと、動的な人間個人や人間集団との間で「折り合いをつける」ものが必要であり、嗜好品が生む「自分だけの特別なひととき」が、その一役を担えるのではないか、という考え方が示されました。

 

合わせて、大平氏からは、あるオフィスで緑化休憩室を活用した期間と、活用しなかった期間の利用者の毛髪に含まれるコルチゾール量から、緑化休憩室によるストレス軽減の効果を測定した研究の成果が紹介されました。人が社会や周りの環境からストレスを受けた際の対処行動(ストレスコーピング)は、直面している問題・課題(=ストレッサー)そのものを解決しようとする問題焦点型と、圧迫に耐えられずに情動の軽減を図る情動焦点型の2つに大きく大別されます。大平氏によれば、緑化休憩室の活用によって、職業性ストレスによる主観的な不安感が軽減傾向を示したのは、特に情動焦点型の対処行動の傾向を持つ被験者に顕著であったそうです。このことから、ストレスに対する人それぞれの対処行動の特性に合った、ストレスの解消方法があるということが考えられます。大平氏からは、人のストレッサーへの対処傾向の違いによって、その人に合った嗜好品は異なるのではないか、また、それには人が関わってきたコミュニティの影響もあるのではいか、という仮説が示されました。

 

人の間と書いて人間。私たちは一人では生きていけません。常に、社会との関わり合いの中で生きています。嗜好品は、それぞれの人の経験や特性に合わせて選択とカスタマイズすることで、その人と社会との接点を良好に保てるものなのかもしれません。

 

視聴者からも、リアルタイムでコメントや質問をいただきました。視聴者からの知識も織り合わせながら嗜好品について議論を展開しました。

 

視聴者からいただいたコメント(一部抜粋)

「自分に適したストレス対処のための嗜好品、それわかったらものすごい助かる」

「1つの嗜好品でも,狙いを変える使い方を提案することもできそう」

「自分の輪郭線を引いたり、消したりするものって感じですね」

「嗜好品(の種類)とコミュニティ(の形態)の共進化とかありそう」

など

 

次回も、皆さんの様々な視点も取り入れ、未来の嗜好品とは何かを共に考えていきたいと思います。

 

第四回は「次世代の嗜好品とは?」と題して11/11(水)に実施いたします。登壇者には、冬眠や人工休眠のメカニズム解明や、医療現場などへの応用について幅広く研究されている、理化学研究所の砂川玄志郎氏をお呼びします。いよいよシリーズの最終回。これまでの議論を総まとめし、次世代の嗜好品を共に議論する場に是非ともご参加ください。

 

詳細は以下のリリースをご覧ください。只今お申し込み受付中です。

【11/11開催】「嗜好品」を議論する連続セミナーの最終回!第4回「次世代の嗜好品とは?」

 

■セミナー趣旨と全体スケジュール■

 酒、茶、コーヒー、タバコ―私たちは日常生活において、様々な嗜好品を楽しんでいます。嗜好品とは、“栄養摂取を目的とせず、香味や刺激を得るためのもの”であるといいますが、生存に必要ないにもかかわらずなぜ私たちは嗜好品を欲するのでしょうか。従来は嗜好品に含まれる生理活性物質の薬理学的な観点からの研究が多く進められてきましたが、近年の技術的進歩がもたらした変化は嗜好品の定義を多様化し、様々なモノ・コトが嗜好品的に使用され、私たちの生活にひとときの安らぎと潤いを提供するようになりました。嗜好品が私たちにもたらす“豊かさ”とはなにか。デジタル時代における次世代の嗜好品とはどのようなものになるのか。多様な観点から嗜好品のもつ役割とその将来像について議論を広げます。

 

「嗜好品5.0 〜その定義から未来へ〜」

タイトル 日時
第1回 嗜好品の歴史   8月18日(火)12:00-13:00
第2回 嗜好品の化学と生物学   9月  9日(水)12:00-13:00
第3回 嗜好品と社会 10月21日(水)12:00-13:00
第4回 次世代の嗜好品とは? 11月11日(水)12:00-13:00

 

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【お問い合わせ先】

株式会社リバネス(担当:金子、西村、神藤) [email protected]