【実施報告】経産省の「未来の教室」実証事業で、静岡聖光学院中学校・高等学校で実社会と学校での学びを繋ぐ教育プログラムの開発、実証を行いました
株式会社リバネスは令和2年度学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)の採択を受け、静岡聖光学院中学校・高等学校の先生方と一緒に、「食」をテーマに分野横断的に実社会と学校での学びを繋ぐ、授業と探究プログラムを開発と実証を行いました。このプログラム開発を通して、同校では、社会的課題について自分事として捉え、課題解決のための論理的かつ共感的な主張をつくることができ、主体的な行動を起こせる生徒を育成することをゴールとします。
※「未来の教室」実証事業は、未来を見通しにくい時代を生きる子ども達一人一人が、未来を創る当事者に育つための環境を構築するために、2018年度より行われている経済産業省の実証事業です。
本事業で取り組んだ内容は以下の2つです。
①全体授業の開発
実施期間:2020年11月9日〜11月20日(全8コマ)
「タンパク質不足」をテーマに、社会課題への興味関心や感情を喚起する全体授業を開発しました。特別講師として、近い将来に人類が直面するタンパク源不足問題を解決するべ く培養肉を開発するインテグリカルチャー株式会社の代表取締役 CEO 羽生雄毅さんにご協力いただき、講演や生徒とのディスカッションに参加していただきました。開発した授業は、合計8コマ。理科、社会、英語、ロングホームルームの時間を活用しました。
②探究プログラムの開発
実施期間:2020年12月5日〜2021年1月30日(全6コマ)
全体授業実施後、学年横断的に希望生徒を募り探究プログラムを実施しました。実施したコースは以下の3つ。
サイエンス:「食」を豊かにする「微生物」の力について探究しよう
グローバル:「Food Waste」世界の食品廃棄問題に立ち向かおう
ビジネス:静岡県内に眠る「食」の課題と向き合い、解決に向けて取り組もう
それぞれのコースでは、外部講師との出会いや実体験を通しながら、一人一人が自身の考えや問いを立て、実験やヒアリングを通して探究活動を進めました。
③評価系の開発
静岡大学の竹内勇剛先生監修のもと、全体授業や探究プログラムを通した生徒の変化を、知識や技能に止まらず、生徒の変化を測定するため、事前、中間、事後アンケートと、未来の教室コモンルーブリックをベースとしたルーブリック評価系を開発しました。
授業、探究プログラム実施後のアンケートから、以下のような結果が得られました(抜粋)。
●「タンパク質不足」というあまり馴染みのないテーマについて、専門家から話を聞き、さまざまな角度から情報を得て、自分の考えをまとめる良い機会になった。
●全体授業後は、事前、中間、事後で、知識が増え、自分の意見を論理的に発することができるようになった。探究プログラム実施を通して、自分の意見を述べたり、他人に理解してもらおうとするときに使う知識量や、相手の立場を考える姿勢に変化があった。
●外部講師を招いた探究プログラムについては、テーマを提示するときの惹きつけや理解のしやすさに有用であると示唆された。一方で、学びへの意欲は、静岡聖光の先生方のほうが効果があった。
●ルーブリック評価は、授業設計において指針を決める際に参考になるが、個人の変化の測定には使用の工夫が必要である。
STEAM教育は、これから益々重要になってくるでしょう。その上で、本取り組みのように、教科の枠を超えた教員チームと外部講師(起業家・研究者・リバネス)がタッグを組み、ともに次代の教育を一緒に考え、試行錯誤を繰り返し ながら作っていく体制は、正にこれから求められる教育の形だと考えます。リバネスでは、今後も学校や企業、研究者の方々と一緒に新しい学びの開発、実証を行って参ります。
静岡聖光学院中学校・高等学校
静岡県静岡市駿河区小鹿にある私立男子中学校・高等学校(中高一貫校)。神奈川県横浜市中区にある聖光学院中学校・高等学校、東京都世田谷区にあるセント・メリーズ・インターナショナル・スクールは姉妹校である。「地の塩・世の光の担い手となる」をディプロマポリシーに掲げ、6年間の一貫した教育カリキュラムの中で、飽くなき向上心と探究心を身につけ、強い信念と責任を持って社会に貢献できる人材を育成している。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社リバネス(担当:前田・海浦)
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