リバネス、VEQTA社とプロバイオティクスサプリメントが犬猫の健康状態に及ぼす影響について共同研究を実施

リバネス、VEQTA社とプロバイオティクスサプリメントが犬猫の健康状態に及ぼす影響について共同研究を実施

株式会社リバネス(本社:新宿区 代表取締役副社長CTO:井上 浄)は、国立大学法人愛媛大学発ベンチャーである株式会社VEQTA(本社:大阪市中央区 代表取締役社長:俵 文利、以下VEQTA)と、同社が開発するプロバイオティクスサプリメントが犬猫の健康状態に及ぼす影響について共同研究を実施しました。

 

イヌやネコは、ライフステージや育て方で腸内細菌叢が変化することが明らかになってきています。(※1、2)例えば乳酸菌に着目すると、加齢にともなってイヌの場合は乳酸桿菌が、ネコの場合は腸球菌が減少することが報告されています(※3、4)。ヒトでは乳酸菌が腸内環境を整えることに関係していることが報告されていますが、イヌ・ネコでも乳酸菌が腸内環境を整えると考えられており、プロバイオティクスに着目したサプリメントが開発されています。

この度リバネスは、イヌやネコの遺伝性疾患分析やペットの腸内細菌叢分析を手がけるVEQTAとともに、VEQTAが開発した乳酸菌、酪酸菌、ケトースを配合するサプリメントの摂取が犬猫の健康状態に与える影響について検証を行いました。

実験では、動物病院の協力の下、7頭のイヌ、10頭のネコを対象に、乳酸菌、酪酸菌およびケトースを配合したサプリメントを毎日2回8週間与え、便の様子や臭いの観察と0週目、4週目、8週目の腸内細菌叢の状態を解析しました。

継続的な摂取の結果、便の臭気の強さに関してはイヌでは7頭中4頭で改善、ネコでは10頭のうち、エサを変えたことが原因と考えられる臭気変化があった1個体を除いた9頭のうち、6頭で改善が認められました(図1、2)。また、0週目、4週目、8週目で採取した便について、腸内細菌叢を次世代シーケンサーを利用して解析したところ、各個体に共通する変動は認められませんでしたが、皮膚・毛づやの様子がサプリメント摂取前から改善したと報告されたイヌ2頭については、qPCRの結果から腸内で有害物質を産生することが報告されているClostridium perfringensの減少が認められました。

今回の共同研究で、乳酸菌、酪酸菌、ケトースの混合物が便の状態を改善させる可能性が示唆されました。今後さらに研究を進めていくことで、プロバイオティクスがペットの腸内環境や健康に与える影響について新たな知見が得られることが期待されます。

 

【試験方法】

◯対象

  • イヌ:2歳8ヶ月から13歳6ヶ月の犬種の異なる7頭(7歳未満3頭、7歳以上4頭)
  • ネコ:1歳5ヶ月から13歳10ヶ月の猫種の異なる10頭(7歳未満6頭、7歳以上4頭)

◯エサの与え方

  • ペット用のエサとサプリメント(Flora Sync ve3.0)の併用
  • ペット用のエサは個体ごとに普段摂取しているものを使用
  • サプリメントの摂取は1日2回

◯サプリメント(Flora Sync ve3.0)の特徴

  • 酪酸菌および生菌の有胞子乳酸菌合わせて1包あたり1億個以上配合
  • ケストースを配合
  • ビタミンB1,ビタミンC,ビタミンE配合

 

【実験結果】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<株式会社リバネスについて>

「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、科学教育・人材育成・研究開発・新規事業の創出に重点を置き、世界中のパートナー企業・公的機関と300を超える多角的なプロジェクトに取り組む。

https://lne.st/

 

<株式会社VEQTAについて>

「ヒト・コンパニオンアニマル・畜産(命をつなぐ役割)、命ある全てがつながり、生きている全ての尊厳を貴ぶ世界を作る」を理念に、コンパニオンアニマルの遺伝病検査に始まり、腸内細菌叢検査結果に基づいた個体別サプリメントの開発を行っている。

http://www.veqta.jp

 

[参考文献]

[1] Cigarroa A, Suchodolski JS. Assessing the development of the postnatal canine gastrointestinal microbiome utilizing the dysbiosis index. In: Proceedings of the National Veterinary Scholars Symposium. College Station, TX (2018).

[2] Song SJ, Lauber C, Costello EK, Lozupone CA, Humphrey G, Berg-Lyons D, et al. Cohabiting family members share microbiota with one another and with their dogs. eLife. (2013) 2:e00458. doi: 10.7554/eLife.00458

[3] Masuoka H, Shimada K, Kiyosue-Yasuda T, Kiyosue M, Oishi Y, Kimura S, Ohashi Y, Fujisawa T, Hotta K, Yamada A,  Hirayama K. Transition of the intestinal microbiota of cats with age. PLOS ONE. 2017 ;12(8):e0181739.
[4] Masuoka H, Shimada K, Kiyosue-Yasuda T, Kiyosue M, Oishi Y, Kimura S, Yamada A,  Hirayama K. Transition of the intestinal microbiota of dogs with age. Biosci Microbiota Food Health. 2017; 36: 27–31.