超異分野学会を起点に新たに共同研究プロジェクトがスタート〜アニマルウェルフェアに資する牧場経営に向けた乳牛のストレス評価システムの開発〜
株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長COO:髙橋 修一郎)では、異分野・異業種が技術、課題、経験、ネットワーク、ノウハウ、社会実装への道筋といった互いに異なる“知識”を持ち寄って議論し、新たな研究テーマを生み出す場として、超異分野学会を実施しています。
参考:超異分野学会2023 東京大会の様子
この度、過去に実施した超異分野学会の大会・フォーラムでの超異分野の議論をきっかけとして、以下の4者連携により、「アニマルウェルフェアに資する牧場経営に向けた乳牛のストレス評価および管理システムの開発」に関する共同研究を開始しました。
株式会社フォーカスシステムズ(以下「フォーカスシステムズ」)
株式会社イヴケア(以下イヴケア)
国立大学法人滋賀大学(以下「滋賀大学」)
有限会社藤井牧場(以下「藤井牧場」)
<関連リリース>
滋賀大学、株式会社フォーカスシステムズ、有限会社藤井牧場と共同研究をスタート
<連携までの動き>
超異分野学会2019 東京大会を起点に、株式会社フォーカスシステムズと株式会社イヴケアが連携を開始。超異分野学会2021 北海道フォーラムをきっかけに有限会社藤井牧場とフォーカスシステムズがコミュニケーションを開始。その後、4者協議を経て、2022年11月より共同研究を開始。
<研究の背景>
家畜のストレスや疾病を減らす重要性
アニマルウェルフェアとは「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態*¹」とされており、日本では農林水産省より、快適な飼育環境下で家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であるという指針が提示されています。
アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼育環境を構築し、家畜のストレスや疫病を減らすことは、安全・安心な畜産物の生産につながるだけではなく、生産者にとっても治療費等のコスト削減や生産性の向上につながることとなります。「美味しい」だけでなく「乳牛にも優しい」牛乳の生産および生産環境の構築による新たな価値創造を目指します。
*¹国際獣疫事務局(OIE、世界の動物衛生の向上を目的とする政府間機関)の勧告
血液を用いない乳牛のストレス評価実現に向けて
本共同研究のファーストステップとして、イヴケアの「乳汁中のストレス関連ホルモンの定量分析技術」を活用し、乳汁中のストレスホルモンの濃度が、乳牛の日常的なストレス評価の指標となる可能性について検討を行います。
現在、乳牛のストレスを評価する方法として、血液中のストレスホルモン濃度を測定する技術が挙げられますが、採血は乳牛への負担が大きく、日常的なストレスの指標として、牧場経営者が活用することは難しいと考えられています。乳汁中からストレス関連ホルモンを分析することを証明した研究はありますが、血中の同ホルモンとの相関性は安定的ではなく、どのようなストレスを反映しているのかは明らかにされていません。
本共同研究では、乳汁中のストレス関連ホルモンを定量的に測定し、血液中の同ホルモン濃度との相関性を含めて、複数の指標との関連性を調査することで、乳汁中のストレス関連ホルモンの濃度が日常的なストレス評価のツールとなる可能性を探します。アニマルウェルフェアの評価項目として、①生産者の経験的評価、②動物行動学に基づく家畜の行動指標の評価、③生理学・生化学の知見に基づく自律神経やホルモン分析によるストレス評価、という3つに注目しています。
<各社の役割>
生産者の経験的評価および動物行動学に基づく行動評価は藤井牧場が実施、生理学・生化学の知見に基づく自律神経やホルモン分析によるストレス評価はイヴケア・滋賀大学が実施、3つの評価項目の統合的な結果のシステム化および評価のIoT化を株式会社フォーカスシステムズが担います。
本共同研究により、乳牛のストレスを最小限にしながら、乳牛のストレスを評価することができるようになり、「乳牛に優しい」かつ「より美味しい」牛乳生産を実現することを目指します。
リバネスは、今後も超異分野学会を通じて研究者、大企業、町工場、ベンチャーといった分野や業種の違いにとらわれず、一丸となって向き合うべき新たな研究テーマや課題を捉え、共に最先端の研究開発を仕掛け続けます。
超異分野学会は2023年度シーズンも全国各地で開催を予定しています。皆様のご参加をお待ちしております。
【お問い合わせ】
株式会社リバネス
研究開発事業部 中嶋、川名
[email protected]