世界中の人に喜ばれる商品と技術を開発し続ける

世界中の人に喜ばれる商品と技術を開発し続ける

太陽誘電株式会社

『世の中のニーズはめまぐるしく変わる。パソコンの前に座っているだけではお客様の求めるものは見えてこない。』大学では電子工学を専攻し、開発技術職として入社した太陽誘電の高木満男さん。現在は、複合デバイス事業部長として自社製品の強みも弱みも理解した上で、お客様との対話の中から新たな製品の可能性を生み出す。

実演-Bluetooth®の機能とは

ポケットからイヤホンを取り出し、高木さんは会話をはじめた。このイヤホンはBluetooth®(ブルートゥース)という無線機能を搭載している。携帯電話と無線でつながることで、コード無しにハンズフリー通話が出来るという代物だ。機能を解説しただけではピンとこないことを見透かしたのか、はたまた持ち前のサービス精神なのか、嬉しそうな様子で実演してみせる。
Bluetooth®は、免許なしに使用できる2.4GHz帯の周波数帯を利用し、10m程度の近距離を結ぶ無線技術だ。赤外線通信と違い、障害物があってもデータ通信ができる。日本ではまだまだ認知度は低いが、アメリカやヨーロッパでは、このBluetooth®機能が携帯電話のすでに60-70%に搭載されているという。他にもPCとマウスなどの周辺機器、テレビゲームやリモコンなど様々な機器間をコードなしにつなぐことができる。「一度その良さを知れば使いたくなる。自分たちの製品がもたらす価値を伝えることも私の仕事です」。

キーテクノロジーは、「小型化」

太陽誘電の複合デバイス事業本部はBluetooth®機能に不可欠な無線モジュールを開発し、世界トップクラスといえる数々のセットメーカーの製品に広く使われている。例えばCDMA携帯電話向けのRFモジュールは、世界シェアの約40%を占めている。現在の無線モジュール開発に欠かせないのは「小さく」「安く」だ。
太陽誘電は、このモジュールに必要な小型低コスト化技術に他社に負けない強みを持つ。その代表的なものが、『EOMIN™(イオミン)』と呼ばれる、部品内蔵基板の技術である。通常のモジュールは、基板の上にICやコンデンサなどの部品が載っている。しかし、EOMIN™では、こういったデバイスを基板の中に埋め込むことができる。結果、三次元的に部品を搭載することが可能になり、大幅に小型化できる。単純に言えば、従来の二次元的な表面実装の、半分以下の面積で同じ機能を実現できてしまう。そこには太陽誘電が誇る技術がある。
その他にも太陽誘電の主力商品であるセラミックコンデンサの技術を応用し、高周波フィルタなどを基板に作り込む小型化技術も持っている。さらにこういった基板技術の上に回路設計・電磁界シミュレーション・構造設計などの高度な技術をアプリケーションとして組み合わせられるからこそ、他社に追随を許さないユニークな商品を生み出すことができる。これらの技術を用いれば、半導体のシリコンウエファーと全く同じ形状で周辺回路まで含んだ〝チップサイズモジュール〟の実現も可能だ。

技術者の想いと会社の成長を重ねる

自分たちの作ったモジュールが、世界中の幅広いブランドメーカーとのコラボレーションを通じて世の中に出ていく。この点が部品メーカーで働く魅力のひとつだ。
高木さんはお客様のもとに出向く際に、先方の製品から経営状態・歴史まで、詳細な情報を事前に集めておくことを欠かさない。「本当のニーズはお客様自身でも気づかないことがある。そのニーズを引き出し、太陽誘電の技術で形にしていきたい」。自社の技術力や製品に対する「誇り」が、高木さんの地道な努力を支えている。
「製品開発を技術者の思いだけで進めいっては、所詮自己満足でしかない。お客様が感動するモノを提供しなければ意味がない」。技術者としての経験を基に高木さんは自戒する。一方で技術者のやりたいことにも気を配る。「本人がやりたいことと、会社がやってほしいことのすり合わせで仕事を進めていくのが、太陽誘電の何よりの長所。特に無線技術はまだ新しい、まさにこれからホットになっていく技術。世の中の若くて感度の高い技術者が活躍することに期待したい」。夢を形にし、かつ社会に貢献できる、そんな可能性が太陽誘電にはたくさん眠っている。(文・垣田有紀)

※Bluetoothは、その商標権者が所有しており、太陽誘電はライセンスに基づき使用しています。