研究に歴史あり

研究に歴史あり

Edwin Mellor Southern

イギリス人。1938年生まれ。1975年、エディンバーグ大学にてサザンブロット法を開発。

1975年にE. M. サザンが発表したサザンブロット法。この手法はDNA多型解析(DNAフィンガープリント)や遺伝子構造の解明などに大きく活躍した。そして驚くべきは、彼が様々な条件検討を行い導いた最適な試薬濃度や温度が、30年以上経った現在でもほとんどそのままに使われていることである。進歩めざましい科学技術の世界にあって奇跡的なプロトコルだ。
実は原著論文では、彼自身はこの手法に特別な名前を付けてはいない。調べた限り、初めて「サザンブロット」という言葉が出てくるのは約1年後、ウイルスの遺伝子構造を解析する論文だった。実験手法に自分の名前が冠され、さらにRNAやタンパク質を解析する技術にノーザンブロットやウェスタンブロットというダジャレのような名前を付けられてしまったサザン博士。紳士の国イギリスの研究者である彼は、一体どのように感じているのだろうか。(文・西山 哲史)


参考文献
Detection of Specific Sequences Among DNA Fragments Separated by Gel Electrophoresis
Edwin M. Southern
Journal of Molecular Biology (1975) 98、 503-517

Sequence Arrangement in Herpes Simplex Virus Type 1 DNA: Identification of Terminal Fragments in Restriction Endonuclease Digests and Evidence for Inversions in Redundant and Unique Sequences
Neil M. Wilkie and Rita Cortini

Journal of Virology (1976) Vol. 20(1)、 211-221