枠を外すことで見えてくるもの

枠を外すことで見えてくるもの

産形 峰久
株式会社スタッフジャパン 産学官連携コーディネーター

論文を書き上げ、ようやく卒業の目処がついた2007年10月からの就職活動を経て、産形さんは、2008年春、博士課程を終了して(学位は本年度中に取得予定)産学官連携コーディネーターとして働き始めた。「博士だから何が何でも研究職を目指すというだけでなく、経験を活かして何か別の仕事があるのではないかというのを探してみるのも面白いと思います」。産形さんは、新たな挑戦に胸が高鳴るという。

博士課程学生の就職活動

信州大学工学系研究科に在籍していた産形さんが、まず行った就職活動は、インターネットを検索して就職情報を集めることだ。しかし、研究室の学部生が登録する大手の就職情報サイトを覗いても、博士課程の学生は対象にしていないのかと思うほど欲しい情報が得られなかった。「博士」「求人」といったキーワードで検索したところ、日本科学技術振興機構(JST)が運営するサイトをはじめ、いくつか求人情報を得られるサイトが見つかった。だが、「1ヵ月位は、見ているだけで終わってしまった」という。そんな時に、インキュビーのキャリアサポートに出会い、登録をした。「どんなアドバイスをもらえるかわからなかったのですけれども、無料で面接の練習が1回できればいいなと思って登録しました」。

「動くこと」それが何よりも大切だった

12月、東京で行われたキャリア相談では、営業や特許関係の職種をはじめ、非常に多岐に渡った業務を行うベンチャー企業の研究職など、これまで知らなかった自分に合いそうな仕事がたくさんあることがわかった。ぼんやりと考えていた研究職以外の職種に、確信を持ってチャレンジする気持ちが固まった。「ホームページを閲覧するだけでなく、模擬面接を申込んだ。この一歩を踏み出したことで、私の就職活動が動き始めました」。続いて参加したマッチングイベントで入手したスタッフジャパンの産学官連携コーディネーターのセミナー情報が、産形さんの進路を決めた。
セミナーに参加し、産学連携コーディネーターは、大学が生み出す技術や知見といった宝を活用したいと望みながらコミュニケーションが上手く取れない人たちの間に入って、手と手をつなぐ手伝いをする人材だとわかった。この仕事こそ、博士号を取るまで専門分野を学んだという経験と、学生時代から培ってきたコミュニケーション能力が活かせると産形さんは考えた。早速、担当者へメールを出し、履歴書提出、一次面接と進み、役員面接を経て内定を獲得した。自分の本当にやりたいことがわかり、その思いを真剣に伝えることができたら、とんとん拍子に話が進んだ。

一期生の気概を持つ

現在、産形さんはスタッフジャパンの契約社員として研修などのサポートを受けながら産学連携コーディネーターとして経験を積む。企業人でありながら大学に近いところで宝探しのニーズを調査し、必要な人に情報を紹介する窓口になる。そして、将来的には、ニーズ別にデータベースを作りたいと産形さんは考える。「データベース化するまでは自分が必要不可欠な人間になれるように頑張りたいと思っていますが、同時に自分が抜けても大丈夫な環境を作りたいとも思います。システムづくりに興味があるんですね」。産学連携コーディネーターとして活躍する若手人材は数えるほどしかいない中、自分の特徴を発揮しようと前向きに取り組む。「10人中、1人でも2人でもこうした研究職以外に就職をする人が現れて、『ドクターを持っている人はやっぱり違うね』という評価を得ていくことができれば求人も増えて良い循環になると思いますね」。産形さんは、若手産学連携コーディネータの一期生の気概を持って仕事に取り組む。


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URL: http://www.r.lne.st/(提供:株式会社リバネス)


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