沖縄から世界へ 飛び出せ!

沖縄から世界へ 飛び出せ!

株式会社レキサス 代表取締役社長 比屋根 隆 さん

沖縄の学生を育てたい。沖縄県では、熱い思いを持った若手IT企業経営者が協同して、学生に成長の場を与える活動が行われている。過去に類を見ない民間企業主導のプロジェクト「IT frogs」に関して、発起人である株式会社レキサス比屋根隆さんに話を聞いた。

IT frogsとは

T企業7社が協賛し、沖縄県、NPO法人「沖縄知の風」が協力して、高等学校、工業高等専門学校、専門学校、大学の学生を対象に世界を相手に活躍できる次世代ITビジネスリーダーの育成を図るプロジェクトである。昨年度は、ウェブリテラシーに関する講義とともに、Android携帯のアプリケ︱ ション開発を年間目標としたグループワーク研修が行われた。さらに、8泊10日のシリコンバレー研修では、毎朝の英会話研修にはじまり、スタンフォード大学や企業(グーグル社、アップル社など)の訪問、夕食後のグループワークと充実した研修を行った。最終的には、3月に成果報告として自分たちの考えたAndroidアプリの発表会を行った。

沖縄の学生を育てないといけない

「沖縄の学生は元気がない」。比屋根さんは、自社の新卒採用活動を通じて強く感じていた。そして、想いを同じくする県内の他の若手経営者とともに、このプロジェクトをスタートさせた。「起業した後、シリコンバレーを訪れたましたが、もっと若いときに来るべきだったと強く感じました。学生のときに来ていれば、もっと視野は広がっていたと思います」。そんな比屋根さんの経験から、プログラムにはシリコンバレー研修が導入されている。学生は、IT業界の本場で、アイデアを活発に議論する技術者、成功結果が評価される世界を目の当たりにし、価値観の違いを痛感した。まさに、「井の中の蛙、大海を知らず」の諺のとおり、沖縄という狭い世界に閉じこもりがちな学生に世界という大海原を見せる、若手経営者たちの挑戦が行われているのだ。

依存する沖縄ではなく、自立する沖縄へ

「将来の沖縄のために何がしたいかが大切だとわかった」。「起業する目標に向かって進んでいきたい」。これまでとは大きく変わった視点が、昨年度のプログラムに参加した学生たちの感想からもにじみ出る。参加者の1人は、東京でのAndroidBazaar Conferenceに沖縄代表としてスピーチが決定し、AndroidApplication Awardに応募をするなど、活動終了後もプログラムの効果は継続している。
本年で3年目を迎えるIT frogs。しかしながらfrogs構想はITのみに限定されるものではない。比屋根さんの構想の先には「琉球frogs」がある。沖縄を支える産業(観光、農業など)に着目し、将来の沖縄を担う次世代を育成する。「沖縄は今まで外部の人間に頼りすぎていた。かつての琉球王朝のように、沖縄の産業は自分たちで引っ張っていくのだという次世代が出てこないといけない。これからは、大学生だけでなく、小中高生にも範囲を広げていきたい」と語る比屋根さんには、琉球を牽引する若きリーダーの風貌を感じた。