麗しきRNA研究者に会う

麗しきRNA研究者に会う

慶應義塾大学大学院の高根香織さん

2011年の年末に「RNA Study Meeting」という若手研究者の会合に誘われたのです。聞けば、日本分子生物学会の年会期間の夜に開催されるとのこと。朝から夕方まで、発表を聞き、自分の研究発表も行い、そのうえで夜も研究の話を肴に晩酌だなんて、研究者として熱過ぎじゃないかと。その熱にやられて、会合への出席を即答。アクティブな研究者とディスカッションできる刺激というのは何ものにも代え難いものです。さらに、僕は学生時代にRNA 病原体を研究していたRNA lover。久しぶりにマニアックな会話を楽しめるウキウキ感で出かけることになりました。

出迎えてくれたのは、会の代表を務める慶應義塾大学大学院の高根香織さん。甲斐甲斐しく出席者をとりまとめ、僕のような新参者にもさりげなく話を振ってくれる素敵なお嬢さんでありました。だ
がしかし、ただのお嬢さんではありませんでした。彼女もまた、麗しのRNA 研究者であったのです。席に着くと、早速挨拶代わりに「どんなRNA 分子を研究されてたんですか?」との質問が高根さんから。出席者同士でRNA 談義が始まりました。

DNA の単なるコピーだと考えられていたRNA に、生体内を制御する役割が発見されてから約30年。異なる役割を持つRNA 分子が、今も続々と発見されています。そのためRNA 生物学は、新しい研究が次々に生まれる非常にアクティブな分野となりました。高根さんが研究するRNA はmicroRNA(miRNA)と呼ばれる20塩基ほどの小さな分子で、ここ10年ほど注目を集め続けています。miRNAは細胞分裂、分化、がん化、ウイルスの感染への応答など、生物学的・医学的に重要な現象の制御に広くかかわっているからです。重要だからこそ、競争も激しいこの分野に身を置く理由を「miRNAがタンパク質や他のRNA 分子と連動しながら生体全体を精妙にコントロールする仕組みが美しいから」と高根さんは表現していました。純粋
な知的好奇心から研究をドライブしているようです。高根さんの話が終わると、今度は他の参加者が自分の研究するRNA 分子について語るプレゼン大会に発展。麗しのRNA 研究者の知的好奇心に引っ張