研究とユーザをつなぐ開発力に自信あり

技術グループリーダー 竹澤義則さん 
   主席技師 奥田正彦さん

ビルの玄関で見る「NABCO」というブランドの自動ドア。1956 年、日本で初めて自動ドアを製造したのが、ナブテスコ株式会社だ。その他にも、新幹線を初めとした鉄道車両用ブレーキなどの産業用機械の中で制御技術を活かし「うごかす、とめる。」でくらしを支えてきた同社が、今、介護福祉分野での事業に注力している。

産業用機械の技術を活かす

産業用機械メーカーである同社が得意とするのは、制御系と駆動系を組み合わせて、機械を「うごかす」「とめる」という技術にある。

同社の義足製品では、義足に体重をのせる必要があるときには、力強い制御が可能な油圧制御を使っている。体からの荷重と地面からの反力を利用してかかとの接地を検知し、油圧抵抗を働かすことで、膝折れを抑制しているのだ。

一方、義足が地面から離れて揺動するときは、同じ製品でも電子制御や空圧制御を活用することで、ユーザの負担が小さく、自然でなめらかな動きを可能にした。このように、同社のモーションコントロール技術が介護福祉の分野の製品開発力として発揮され、この義足は今や世界20 カ国以上のユーザにその価値を認められている。

自然な生活をアシストする

同社が開発した介護用電動車いす「アシストホイール」を実際に使用してみると、驚くほど軽く坂道を上り下りできる。しかも、介護者が電動アシスト機能のオンオフを切り替えることや強弱を選択する手間も不要だ。坂を上るときに介護者のグリップを押す力は強まり、それを検知すると自動的にモータが働く。そして、力が弱まると自然とモータも止まる。電動機能がない車いすと同じように操作できることを重要視し、介護者の「アシスト」に注力した。さらに、ユーザビリティの追求も欠かさない。機能の充実は、軽量化、小型化と相反することが多いが、「アシストホイール」に薄型モータを採用することで、折り畳むと普通の車いすと同程度に収まる。

このように、センサ、制御系や駆動系など、製品のあらゆる分野で同社のユーザ視点でのこだわりと高い開発力が見受けられる。

さらに、インテリジェンス

同社の福祉事業は、神戸大学と兵庫県リハビリテーションセンターの共同研究チームへの義足用空圧シリンダの提供から始まった。1980 年代に信頼性やメンテナンスを考えた国産の義足が求められていたときに、電子制御を利用した義足の基礎研究が進められていたのだ。これをきっかけにして、同社は産業用機械で培ったモーションコントロール技術とアカデミックな研究を融合することで、1993 年に世界で初めてのマイコン制御義足を製品化し、社会への新たな貢献を見出した。

「私たちの製品は、未だ機械の領域を出ていない。これからは、安心して使えるアクチュエータと、人が機械を意のままに操れるインターフェースが必要だ」と竹澤さんと奥田さんは言う。そして、革新的なアクチュエータやセンサとの融合はもちろん、ロボティクス、情報分野の研究、さらには介護福祉分野のサービス研究など、幅広い研究者との産学連携から、より知能的な製品の開発に踏み出そうとしている。(文・吉田 一寛)

ナブテスコ株式会社 住環境カンパニー 福祉事業推進部
技術グループリーダー
竹澤 善則 さん(左)
1993 年、福井大学工学部機械工学科を卒業し、同社入社。2012 年より現職。

ナブテスコ株式会社 住環境カンパニー 福祉事業推進部
 主席技師
 奥田 正彦 さん(右)
1986 年、京都大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了。1995 年同社入社、2012 年より現職。博士(工学)。

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