【ノーベル物理学賞発表!】あなたの視界に何個使われている? 日本で産み育てた青色発光ダイオード
朝起きて、友達からLINEがきていないか確認する携帯電話のバックライト、今日の天気予報を観る液晶テレビのバックライト、家を出て交差点にある信号機、お店の前の電光掲示板、震災以降全国的に切り替わったコンビニのLED照明など。これらすべて2014年のノーベル物理学賞を受賞した「青色発光ダイオード」の発明と実用化の成果です。青色発光ダイオードを世界で初めて作り出したのは当時名古屋大学の教授で現在名城大学の赤崎勇教授、その弟子である現名古屋大学の天野浩教授、そして、世界で初めて商品化レベルまで持ってきたのが当時日亜化学工業株式会社の研究員で、現在カリフォルニア大学の中村修二教授です。その日本人3名がノーベル物理学賞を共同受賞しました!
発光ダイオードは電子が多いn型半導体と、ホールが多いp型半導体という2種類の半導体を結合させた電子部品です。その間に電気を流すと電子とホールが結合し、その際のエネルギーの差(バンドギャップ)が光として出てきます。バンドギャップは素材により異なり、1962年にガリウムヒ素(GaAs)で赤色の発光ダイオードが生まれて以来、リンやインジウムを加えるなどして、橙色、黄色、緑色などがつくられてきました。しかし、青だけは材料としてセレン亜鉛(ZnSe)や窒化ガリウム(GaN)などが候補だとわかっていたのですが、材料の構造上、きれいな結晶構造ができず難航していました。アメリカの3M社がZnSeで青色レーザーを成功させていたため、多くの研究者はZnSeを研究していました。しかし、日本の赤崎教授は違いました。固くて丈夫で熱伝導性がよいGaNを素材にできないかと試行錯誤を繰り返しました。そしてついに、サファイアの結晶とGaNの結晶の間に低温堆積バッファ層という窒化アルミニウム(AlN)を入れることで、透明できれいな結晶ができたのです。青色発光ダイオードの発明です。続いて当時徳島の会社で研究開発をしていた中村修二さんが縦横両方から基板に原料を流す「TwoFlow法」を編み出し、バッファ層なしでGaNの結晶をつくるのに成功しました。他の人が諦め、誰もやらなかったことを徹底的に考え、実行した結果、世の中を明るくしたのです。次は、どんな「光」が日本から生み出されるのか楽しみです。
参考:http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2014/press.html
記者:藤田 大悟