試薬・機器の海から最適解を見つけ出す新しいプラットフォームの登場-KEYSTONE-

試薬・機器の海から最適解を見つけ出す新しいプラットフォームの登場-KEYSTONE-

研究機器・試薬市場は、新規参入企業の登場や大手企業による買収などにより、今や無数の製品があふれかえっている。例えば、抗体ひとつとっても同じものを様々なメーカーが扱っており、どれを利用するかに迷うこともある。そんな中、2014年4月からサービスを開始した株式会社キーストーンは、こうしたストレスから我々を解放してくれるかもしれない。同社が用意する研究者のためのソリューション、KEYSTONEについて紹介する。

これまでなかった新しい製品検索のツール

 新しい実験を始める時、予算申請をする時、目的の実験に利用できる試薬や機器を探す作業はどうしても避けることができない。例えば冒頭でふれた抗体や、制限酵素に代表されるDNA関連試薬、サーマルサイクラーなど、様々なメーカーから同じような製品が出ている例は枚挙にいとまがない。インターネット検索や、代理店から届く分厚い機器カタログ、辞書ほどの厚さのある試薬カタログを使って目的の製品を探すことは、どの研究室でもよくおこなわれている。そして、ひとたび探し始めるとそれなりに時間を取られてしまうことは、誰しも経験したことがあるのではないだろうか。製品探しに、販売代理店(ディーラー)を活用している方も多いはずだ。日々研究室を回っている彼らに依頼をすれば、探していた製品の提案だけでなく、関連する製品の情報も手に入れることができる。しかしセキュリティ面などから、販売代理店のラボ内への立入りが制限され、彼らからの情報入手が制限されるケースも増えてきている。

 こうした状況下、製品探しをより簡便にしながら、検索の精度を高めたサービスが登場した。それがKEYSTONEだ。調べたい時に瞬時に関連製品を抽出し、リストで表示する。気になる製品だけを選んで製品間のスペッック比較を行い、目的の製品を選ぶ。該当する製品についてメーカーに気軽に問合せをする。このような製品を探す時に参考にしたい情報は全て、KEYSTONEの会員登録(無料)を済ませれば利用可能だ。

 「研究者と研究支援業者(サプライヤ)との架け橋となり、21世紀の科学研究分野の一翼を担う事を目標としています。アーチ橋の中央で橋を支えるキーストーン(要石)を社名としました」と、同社代表の坂井宏次氏は社名の由来を説明する。

高い機器・試薬メーカーの網羅性で実現するユーザビリティー

 大手企業がやっているネットショップを見てもわかる通り、製品サイトは、どれだけの品数を用意できるかがその価値に直結してくる。バイオ業界は合併が進んで大企業に集約されて来ているとはいえ、大手数社の製品しか掲載されていないのであれば、利便性は落ちてしまう。KEYSTONEでは業界に関連するあらゆるサプライヤと研究者をつなぐため、参加企業と、登録製品を増やしていくための努力が日夜続けられている。2015年5月1日時点で、100社のサプライヤが参画し、120万点近い製品が登録されている。さらに、400以上の製品カテゴリが設けられており、利用者側の様々な検索ニーズに対応するための下地が整ってきている。

 研究室でよく見かけるユーザーが多い企業の製品も次々と登録されていっている。ホームページを見ると(図1)、現時点での登録製品数と参画しているサプライヤ(メーカー)の数が確認できる。

使って実感する利便性

 製品サイトは利用してみなければその使い勝手がわからない。ということで、KEYSTONEを利用してみることにした。登録は簡単で、氏名と連絡先の情報を入れれば完了する。前述の通り、登録は無料である。トップページの右上からログイン後、プルダウンメニューで、お気に入りに登録した製品の一覧や、検索した履歴も確認することができる。検索ウインドウ(図1)にキーワードを入れて自分が求める製品を絞り込んでいく仕組みになっている。キーワードに関連するシーンにあわせた目的(カテゴリ)が提示されるので、試しに「プラスミド」と打ち込んでみることにした。表示されたカテゴリの中から「プラスミド抽出」を選択した上で、「精製」のキーワードを追加して検索すると、190件の対象製品が表示された。結果のリストに表示される製品にはそれぞれチェックボックスがついており、ここをチェックすると比較対象としてリストアップされる。画面左下に比較表のウインドウがあるので(図2a)、ここをクリックするとチェックした製品の比較ができる。価格まで含めた製品情報が表示されるため、比較する上では非常に便利であると感じた(図2b)。これらの製品に関するデータは、サプライヤによって登録されているそうで、各サプライヤが用意するスペック表を簡単に手に入れられる上にサプライヤ間で比較できる点はありがたい。

ks

 坂井氏によると、すでに1万人近い研究者が登録をしているそうで、研究者からのフィードバックを受けて、サイトの改善や機能拡張も日々進めているところだという。百聞は一見に如かず。まずは登録して、体験してみてはいかがだろうか。