3Dプリンタがつくる未来の教育
3Dプリンタで「アイデアを形にする」体験を
3Dプリンタ最大のメリットは、「アイデアを形にすること」がこれまでよりもはるかに簡単にできるようになることです。例えば「こんなロボットがあったら便利!」という子どもたちのアイデアがあったとしても、これまでは金属加工のような高いスキルを要求され、誰もが試作できるものではなかったり、キットのように自由度が限定されてしまうものを使わざるを得ませんでした。
3Dプリンタは子どもたちが自由なアイデアや発想を簡単に正確な形として具体化することを可能にし、また簡単に改良を加えることができるのも魅力です。3Dプリンタによってもたらされる「アイデアを形にするという体験」は、答えのない問いに挑戦する楽しさを知り、考え方と行動力を育んでくれると期待されます。また、3Dプリンタはこれからあらゆる業界に導入されていくと予測されています。航空宇宙産業、自動車製造、医療用製品、人が身につけるあらゆる商品など、さまざまな分野ですでに導入され始めています。3Dプリント技術を身に付けた人材は、あらゆる分野で活躍できる可能性が広がっているともいえるのです。
世界で進む教育界への導入
「新しいものを作って世の中を変える」という、「ものづくり」に携わる次世代を育てるツールとして期待される3Dプリンタ。世界中で教育界へ3Dプリンタを導入する動きが出てきています。とくに欧米では、STEM教育のエンジニアリング教育のコンテンツとして期待されているようです。2014年、日本でも導入のための助成金が経済産業省から出されましたが、世界的に見ると大きく後れをとっているのが現状です。
世界の動き
イギリス |
●2009年、世界で最初に低価格3Dプリンターが学校に導入された ●2016年までにすべての中学・高等学校・専門学校(約4000校)に3Dプリンタ導入 |
アメリカ |
●2013年から4年間で、1000校の学校に3Dプリンタ等を備えた工作室をつくる ●2013年、MakerBot社は全米10万校への3Dプリンタ普及を目指し、MakerBot Academy*を設立 *3Dプリンタの導入を希望する学校が登録。登録校の中から、サポーター(法人、個人問わず)が支援したい学校と寄付額を決める。寄付総額が目標に 達したら、資金調達が成立。学校は寄付金で、MakerBotの3Dプリンタが市場価格より安い価格で購入できる。 |
オーストラリア |
●2013年、ビクトリア州政府が資金提供し、州内高校19校に対して3Dプリンタを導入 |
シンガポール |
●段階的にすべての公立学校の授業でソフトウェア、3DCADのプログラミングの授業を導入。既に一部の公立の中学校、 高校で試験的に導入されており、約1500名の生徒たちが3D教育を受けている |
インド |
●インド工科大学がインド初となる3Dプリント技術のコースの開設を発表 ●インド国内の小中高校に教科書を納める大手出版企業が、小中高生用3Dプリンティング教育プログラムを開発。同ルートで 学校へ納入 |
日本 |
●2013年、慶應義塾大学が日本で初めてメディアセンター(図書館)内へ3Dプリンタを導入 ●2014年、経済産業省が大学や高専を対象にモデル校を数校選定し、購入費を補助。今後全国の中学校と高校にも対象 を広げる方針 |