コンピューターグラフィクスの世界を加速する 金井 崇

コンピューターグラフィクスの世界を加速する 金井 崇

映画で3DCGを目にする事が当たり前になってきた。
ハリウッド式の超美麗なCGに始まり、ゲームはポリゴン表示なんて言葉すら聞かなく位、CGというのは当たり前の技術になっている。

東京大学教養学部金井 崇 准教授

東京大学教養学部金井 崇 准教授

東京大学教養学部の金井 崇准教授はコンピュータグラフィクスを専門としている。

近年の技術の進化によって、実物の制作物を3Dスキャンしてデジタルデータとして取り込むというような技術が確立されているが、取り込んだデータを現実的に活用するとなると話は違うようだ。
例えば、スキャンデータをCG映像として活用する事を考えよう。
膨大なデータ量はそのまま動画に登場させるには、コンピュータの処理量が莫大になってしまうし、そもそもノイズが乗っていて映像をレンダリングする(画像化する)際に不都合が生じることが少なくない。

金井研究室では、現代のコンピュータグラフィクス業界で課題となっているテーマを様々なアプローチで解決していくという研究を行なっている。

スピード!

メッシュから陰関数曲面への誤差に基づく階層的近似

メッシュから陰関数曲面への誤差に基づく階層的近似

センサ技術が進化している現代では、取得できる3Dデータは大容量になる傾向にあるし、それは将来的にも継続するだろう。
CGはリアリティを増していくが、それを処理するCPUパワーも同時に伸びていく。
CGを見る人間の目も肥えて行き、満足に至るクオリティは高くなっていく一方だ。
では、実際にレンダリングされた映像というのは、全空間で詳細まで描かれなければならないのだろうか。

否、そんなことは無いのである。
人間の目なんていい加減なもので、あらゆる所で情報を端折っている。
そうすることによって、脳みそが処理する情報量を上手くバランスしているのだろう。
これをコンピュータ・グラフィクスの世界でも実現するという考え方があるのだ。

物理モデルを考慮した爆発のモデリング | Kanai Laboratory
個人的におすすめなのはこの研究内容

多重解像度モデル(形状)という考え方

視点からの距離によって、CGの解像度を変える。多重解像度モデルによって、一つのモデルに複数の解像度を持った3Dデータを作る。
Level of Detail(LOD)と呼ばれる解像度をアルゴリズムで調整し、遠くにある人間だったら普通は見えないような物体については解像度を低めにして設置をする。そうすることによって、CGの世界を描画した際のコンピュータの処理を軽くし、迅速にレンダリングすることに成功するのだ。

形というものを、3次元で如何に効率良く作るか、編集することが出来るか。こういった部分にフォーカスを当てた金井研究室のアプローチは面白い。
時に物理法則を変更したり、それを違和感の無い範囲でよしなにしてくれるようなプログラムを書いたり。3DCGの世界を効率化する研究は、今ホットな領域だ。

今金井先生が注目しているのはゲーム業界だ。

3Dをリアルタイムに処理する。その手法についての研究が面白いと先生は言う。
CGのクオリティ面は、ある程度行くところまで行ったと思うという先生。次に必要となるのは、今は大変な3DCGの制作環境を出来るだけ簡単にし、描画速度を向上し、CPUパワーを削減するということだろうと言う。

うまく端折る技術が必要

コンピュータの中の世界だから、全てを真正直に処理するというのは旧来のアプローチだろう。しかし、そこにこだわるよりはもっと使いやすさや編集のしやすさといった所に情熱を傾けていきたい。その為に必要なのは、上手に端折るという技術。
Facebookを見ていると、情報量を如何に端折るのかという事が見て取れるのだが、金井先生の言葉にも、分野は違えど、それによって新しい世界を拓くのだろうという面が共通しているように見えた。

東京大学金井 崇先生よりメッセージ

Kanai Laboratory | University of Tokyo, Komaba Campus