人材育成こそが大学の使命

人材育成こそが大学の使命

名古屋大学 社会貢献人材育成本部

2006年、博士号取得者のキャリア支援を本格的に開始した名古屋大学は、2年間で133名の博士号取得者を企業に送り出した。平成20年度からは、キャリア支援の対象を博士課程の学生にまで広げた「社会貢献若手人材育成プログラム」を新たに開始した。

人材育成こそが大学の使命

  2008年11月7日、東京の学術総合センターで名古屋大学のシンポジウムが行われた(写真)。テーマは「新しい時代を切り開く人材の育成」。各プロジェクトのリーダーが行うプレゼンテーションの後にメインイベントとして行われたのは、キャリアパス支援事業を統括する産学官連携推進本部の武田さんと、本イベントの総合司会として参加したフジテレビアナウンサー、中野美奈子さんのトークセッションだった。グローバルCOEの取り組みが数多く紹介されたプログラムの中心は、全国の大学の中でも高い実績を上げている、博士号取得者・在学者へのキャリアパス支援だ。

地道な支援が実績を生む

  名古屋大学が目指す博士人材の育成像は、産業界などの実社会で活躍する人材だ。そのために名古屋大学が取ったアプローチは、とにかく丁寧に1人1人の博士号取得者と向き合い、地道に活躍の場を創ることだ。OB訪問のセッティングからエントリーシートの作成支援も行い、さらにキャリアコンサルティングは、1人に対して5?6回、何か月も継続的に実施する場合もある。人材サービス会社のような手厚いキャリア支援の取り組みが、全国から集まる443名の登録者と133名の就職という、博士号取得者へのキャリア支援を行う同様の事業内でのNo.1の実績を生み出したのだという。

広がる多様なキャリアパス

  これまで支援した博士号取得者の就職先は、企業での研究職だけに留まらない。特許事務所や技術移転機関、コンサルティング会社やNPOなど、研究経験を活かせる企業に加え、レストランやダイビングショップの経営など、これまでのキャリアと一見関連性が薄いようなキャリアにまで渡る。新たに始まった「社会貢献若手人材育成プログラム」は、これまでのキャリア支援ノウハウをベースに、長期インターンシップで中部地域の大企業を中心とした企業との関係性を積み上げていく予定だ。
  「ポスドクといっても1人1人違う。勇気と自信を持って、自分を最も活かせる道を考えることが重要だ」。トークセッションで歯切れよく語る武田さんの言葉には、1人1人の興味・関心に耳を傾け、継続的にサポートをしてきたからこそ生まれる自信が溢れていた。