研究者たちのライフデザイン[テーマ]研究ポジションの話

研究者たちのライフデザイン[テーマ]研究ポジションの話

研究者にとって研究費の獲得は避けて通れない道だ。
科研費等競争的資金や企業との共同研究費が代表的な研究予算であり、どんな研究予算であっても獲得は容易ではない。
科研費全体では、27万人の登録研究者のうち採択されたのはその1割と報告されている(2013年度)。なかなかの狭き門である。
それではリバネス研究費の申請者、採択者から読み解く、グラント申請のポイントを見てみよう。

申請者の内訳

図1に示したのはリバネス研究費申請者のポジションの内訳である。
 ◦ 40歳以下の研究者を対象としていること
 ◦ 一口50万円(一部例外あり)の研究費を提供していること
 恐らく上記理由のため、教授、准教授、講師の申請者は少ない。また、助教21%、ポスドク22%、博士課程学生26%、修士課程学生12%と、実際に研究現場で手を動かしている若手研究者からの申請が集まっている。
 実際に実験をして生のデータを眺めている若手研究者だからこそ出せる「地下実験」のアイデアに研究予算を付けたいと考えて始めた本事業の狙い通りの組成になっている。

図1  修士課程学生から助教までの申請で8割を超える

図1 修士課程学生から助教までの申請で8割を超える

採択者の内訳

 では実際に採択されている研究者を見てみよう。図2に示したのが採択者のポジションの内訳である。助教とポスドクがそれぞれ30%を占めており、博士課程学生が18%、修士課程学生は7%に留まった。申請者数の少ない准教授や講師については、採択率が高い。やはりグラントの申請においては経験者に分があるということが示唆された。しかしながら、博士・修士両課程の学生を足せば採択者全体の25%である。リバネス研究費採択者の4人に1人は学生なのである。

図2  採択者のポジション

図2 採択者のポジション

研究者の積極性が未来を変える

 御存知の通り、リバネス研究費は民間発の研究費だ。企業の資金を獲得する機会を提供しており、競争的資金と企業との共同研究費の両方の性質を持っていると言える。その審査には学術的な進歩性の観点だけではなく、それぞれのスポンサーが独自のクライテリアを持っている。企業がお金を出すからには、そこには目的があるのだ。その目的は実に多様ではあるが、ひとつだけ共通している事がある。それは、新しいアイデアと積極性を持つ、熱い研究者との出会いを求めているということである。学生にもどんどんチャレンジをして申請のコツを掴んで頂きたい。リバネス研究費は若手研究者の登竜門として、今後も継続していく。