科学技術への情熱をもとに世界を変えるアイデアで勝負〜TechPlanter紹介〜

科学技術への情熱をもとに世界を変えるアイデアで勝負〜TechPlanter紹介〜

近年開催の機会が増えたビジネスコンテストやハッカソンイベント。これらを「スタートアップに興味のある 人たちだけのもの」と捉えるのはちょっと待ってほしい。世の中に課題は多くあり、それを解決したい情熱を持っ た研究者が世の中にいるのだ、と実感できるのがシードアクセラレーションプログラム『Tech Planter』に集 まる研究者との出会いだ。アカデミアで追いかけてきたテーマと世の中の課題はどう結びつくのだろうか。

そのアイデアで世界は変わるか

Tech Planterはエンジニアリング、バ イオサイエンス、アグリカルチャーの3つ の分野において情熱を持って課題解決にあ たる起業家を育成するプラットフォーム だ。このプログラムにエントリーし、年 に 1 度行われるグランプリコンテストで入 賞したチームは、スポンサーとなっている 企業から投資や共同事業の申し出を受ける チャンスもある。パートナーは日本たばこ 産業株式会社やロート製薬株式会社などの 研究機関を持つ大手企業から、ベンチャー 企業や町工場まで、様々な企業が関わり、 事業化や試作品づくりをサポートしてくれ る。このグランプリでは事業計画や実現可 能性が選考のスタートではない。知りたい のは「そのプロダクトやアイデアで世界が 変わるか」という問いに対する答えただ1 つだ。グランプリの前後に面談をし、描く 世界を深く共有したら、グランプリの前後 にチームの組換えをすることもある。最終 選考に残らなかったチームでも、新メン バーを加えたり、別の研究者や技術者と引 きあわせて、セカンド・チャンスを得られ るチームをつくっていく。

研究者発のユニークなプランが続々登場

今年 9 月 21 日に行われたエンジニアリ ング分野の最終選考会、テックプラングラ ンプリでは「世界からフィジカルな苦役を なくしたい」という夢を持って「人が搭乗 可能な操縦型ロボット」をつくるロボット 工学の研究者や、イヌの感情を心拍数パ ターンによって可視化し、データベース化 することで、イヌと人間の理解を促進する 世界をつくりたいという生態学の研究者が 登場した。そんな中、このグランプリで 優勝したのは「分子生物学分野における IoT(Internet of Things) の構築」を目指 した MOLCURE だ。手順が複雑な作業が 多いバイオ系の実験は、未だに手作業に頼 る部分が大きい。人的要因によって実験結 果の誤差や失敗が生じるリスクを減らすた め、自動制御マシンにより実験効率の向上 を目指している。まさに、研究が加速する 未来をつくるアイデアだ。代表の興野悠太 郎さんは修士課程を卒業したばかりの研究 者。研究現場という身近な課題に対して、 バイオ系の研究者でありながら圧倒的な技 術知識を持っている興野さんだからこそ生 まれたアイデアだ。

未来をつくる課題を見つけよう

Tech Planterにおいて、コンテストの 賞金は収獲のごく一部だ。この 10 月には 昨年度の優勝者、清水敦史さんが新しい風 力発電装置をつくる株式会社チャレナジー を設立した。事業化や試作にあたって、メ ンターや町工場のサポートを受けている。 ほかのエントリーチーム同士の交流も活発 になってきており、情熱を持った者同士の ぶつかりあいは刺激的だ。これらの、サポー ターや同じ土俵で戦った者たちとつくるコ ミュニティこそが、このプラットフォーム の魅力、と参加者は口を揃えて言う。研究 や経験をベースに、自分が取り組むべき テーマを決めているアントレプレナーた ち。彼らは特別だろうか?身近な知識や経 験から課題を抽出する発想力、高い専門性 を持って実現可能な道を探る実行力、情熱 を持って粘り強く取り組む持久力。求めら れる力は研究と同じだ。自分の問いを社会 に還元できるチャンスに飛び込めるかどう か。彼らはそれにチャレンジした。11 月 と 1 月にはアグリカルチャーとバイオサイ エンスのグランプリが、そして 12 月 7 日 にはエンジニアリングのシンガポール大会 も予定されている。世界を変える研究で、 次は君も勝負してみないか。

Tech Planterとは

ものづくり、ロボティクス、バイオ、ヘルスケア、食、農などの分野から、情熱を持って世界を変える 若き起業家を育成する、起業家育成プラットフォーム。これまでに、台湾、シンガポールの海外大会を含 めて、グランプリを計 5 回開催。12 月 7 日には第 2 回となるシンガポール大会も予定している。

http://techplanter.com/