〔リバネスセンシズ〕世界の研究を次なるフェーズに導く研究者(後編)
リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。
高橋 宏之(たかはし ひろゆき)
博士(理学)
専門分野:分子生物学、酵母の遺伝子、生化学、たんぱく質科学
(聴き手:佐野 卓郎)
研究の新たなあり方と可能性を求めてリバネスに入社した高橋宏之さん。その後、研究のあり方についてひとつの答えを導き出しつつある。そんな高橋さんにさらに詳しく話を聞いてみた。
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佐野:リバネスに入って、最初に手がけた仕事は何でしたか?
高橋:高校生向けサイエンス誌「someone(サムワン)」など定期刊行冊子の作成や実験教室、海外出張などもありましたが、一番印象深いのは「リバネス研究費」ですね。とても思い入れがあります。熱があって先進的な研究テーマを掲げる様々な若手研究者と知り合うことができました。「この人たちとどんなことを起こしていこうか」と妄想が広がりましたね。私にとっては結構な財産です。
佐野:現在は、「超異分野学会」を手がけていますが。
高橋:はい。リバネス研究費も含め、リバネスでは多くの研究者に出会います。面白い研究者をたくさん集めて、それぞれの研究の魅力を伝え合う。もちろん、皆さん分野が違いますから、分かりやすく魅力的に。
超異分野学会(最初は交流会だった)はリバネス設立時からあったもので、引き継いだ当初はやらされ仕事でした。でも第5回から意識が変わりました。どの研究が、どのようにつながるとコトが進んでいくのか。どうしたら共同研究がはじまっていくのか。その仕掛けを考えていこうと思うようになりました。
佐野:分野を超えたコミュニケーションはとても大切ですね。
高橋:ただ会って話すだけでは何も起こりません。分野を超えたコミュニケーションの深度を高め、お互いに踏み込んでいくことで、きっと何かが生まれてくるはずです。それって、どんなものなんだろうとワクワクしますし、それが超異分野学会で見えてきたらと考えています。
佐野:今後はどんなことを仕掛けていきたいと思いますか?
高橋:研究をデザインする「ResQue(レスキュー)」というサービスを展開し始めています。大学、企業など組織の違いや、細分化された分野の隔たりによって点になっている研究を、出会わせ掛け合わせることで、研究に新しい流れのようなものができればと考えています。特に、企業と大学の研究の垣根がもっと低くなればよいのにと思っています。もちろん、目指すところが違うので難しい部分もあるとは思いますけどね。
佐野:最後になりますが、これからの「研究」について、どのように考えますか?
高橋:昔の研究では、様々な現象や物質・物体をバラバラに分解していましたが、現在は、統合する方に向かっているような気がします。知るための方法ですけどね。これまでバラバラにしたものが、どう組み合わさると機能するのかとか、物理分野では早いタイミングでこうしたことが起こっていたのかもしれませんが、ビックデータ処理やシミュレーションなどコンピュータの発達でできることも増えてきています。今や、臓器をつくるといった研究もされていますし。
知識を組み合わせ統合するためには、違った分野のひと同士がお互いの知識を交換し合う必要性があります。ビックサイエンスを作れるひとも必要になってくるでしょう。
今や研究は、自分一人で進めるのは難しく、違ったアイデアを持った色んな研究者の仲間が必要になっているわけです。
こうした人や知識をどうやってつなぐのか。その仕組みをつくることこそが、今世紀以降の世界におけるもっとも重要な研究テーマであり、機能であると考えます。