〔リバネスセンシズ〕世界に仲間を増やして仕掛けるひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕世界に仲間を増やして仕掛けるひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

前川 昇平(まえかわ しょうへい)
Shohei Michael Maekawa M.Sc.

専門分野:行動生態学

(聴き手:佐野 卓郎)

イギリスからインターンシップに参加し、数年越しでリバネスに入社を果たした前川さん。漠然とした「やりたい仕事」を想いながら、リバネスの中で様々な経験を重ねていった。

前編はこちら→ 〔リバネスセンシズ〕世界に仲間を増やして仕掛けるひと(前編)

佐野:リバネスに来て初めの頃の仕事を教えてください。

前川:テレビ局での映像制作の経験がありましたら、映像制作の仕事などをやっていました。論文検索サイト「web of science」について、芸人さんとともにわかりやすく解説する「web of RAMEN」っていう映像コンテンツを制作したりしました。ほかにも科学館の展示プロデュースや宇宙をテーマにしたサイエンスショーなどもやりましたね。

佐野:これまでで一番心に残ったプロジェクトは?

前川:私自身の一番の転期となったのは、2016年から始めているインドへの進出だと思います。インドでシードアクセラレーションプログラムであるテックプランターを実施するというプロジェクトで、リバネスではまだ誰も手をつけてないエリアへの展開でした。はじめて0→1で立ち上げたプロジェクトでしたし、誰も知らない土地で人的ネットワークをつくって、新たな取り組みを実現していくのは、とても大変でしたがよい経験になりました。
これまでは、プロジェクトリーダーとは言っても、誰かのプロジェクトを引き継ぐことがほとんどでしたから。
自分にとってインドのプロジェクトはとても大きな出来事でしたし、自分がすごく成長できたプロジェクトだと思います。

佐野:最近、前川さんはイギリス支社を立ち上げましたよね?

前川:はい、2016年7月頃から動き始めました。ちょうどイギリスがEUを離脱するかもしれないと揺れ動きはじめた頃です。
イギリスは科学の伝統がある国のはずです。私もそれがあったから、イギリスの大学に進学しました。しかしイギリスの研究者は今、日本の現状と似ていて、若手研究者の研究費がなかったり、バックグラウンドを生かすこともできず、金融やサービス系の仕事についている人も多いんです。社会情勢が、さらにこの現象に拍車をかけて行く可能性もあります。私は、もう一度、イギリスを科学技術が生み出されていくような国にしたいと考えています。

佐野:イギリスが好きなんですね。

前川:学ぶ場所として、また科学や研究をやる場所としてはすごく良いところだと思いますよ。

佐野:今後、どんなことを仕掛けていきたいと考えていますか?

前川:私自身はイギリスの研究者の支援もしながら、イギリスを起点に世界の科学技術の発展を考えています。そしてもう一つ、世界中に熱意をもってコトを仕掛ける人を生み出し、育てていきたいと考えています。
ここ数年働いてみてわかったのは、ビジョンを達成するためには「自分一人では無理だ」ということです。同じビジョンを持っている人を育て、集めていく必要があると痛感しています。

あと、直近のやりたいことですが、Google Mapのようなエコシステムマップをつくってみようかと考えています。リバネスは色々な国に行って、現地のスタートアップや研究の状況を事細かに調べてきています。現時点では日本の各地域、シンガポールやマレーシアなどの状況が明らかになってきました。これを世界中に広げ、研究、教育、創業などの分野における現状を記したマップをつくりたいと考えています。

 

当初抱えていた前川さんの漠然とした「やりたい仕事」は、経験と知識を増やしていくことで様々な形に発展してきている。その仕掛けのすべてが、これから前川さんが世界を変えていくための要素になるのかもしれない。