〔リバネスセンシズ〕テクノロジーで豊かな地域を創造するひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕テクノロジーで豊かな地域を創造するひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

石尾 淳一郎(いしお じゅんいちろう)
博士(工学)
専門分野:国際開発工学、心理生理学

(聴き手:鈴木 愛斗

→前編はこちら

鈴木:リバネスとの出会いについて教えてください。

石尾:「途上国の問題を見つけ、解決のためのプロダクトを開発する」という国際開発サークル活動の認知度が上がってきたとき、学内で行われたTED x Titechというイベントで発表する機会が訪れました。TEDと言えば、おしゃれで、流れるような話に引き込まれるようなプレゼンですよね。一方、当時の私は経験もなく、みんなのように素敵なプレゼンはできません。見た目も丸坊主で、「東工大」って書いてあるTシャツが普段着だったんです。TEDに向けて、恵比寿のおしゃれなカフェで打ち合わせなんて、本当に居心地が悪くて。断ろうかと悩んでいたところに、篠澤さんに声をかけてもらい、メンタリングしてもらったことがリバネスとのファーストコンタクトでした。イベントには坊主の高橋修一郎さんも来ていて、シンパシーを感じましたね(笑)。そこで、国際開発サークルでもやっているようなことを、事業としてやっている先輩がいるんだと知りました。リバネスの面白さに触れていくうちに、どんどん興味を持っていきました。それ以来、助成事業に申請するときに申請書を見てもらったり、アドバイスをもらったりとお世話になっていました。
時は流れて、5年くらい博士をこじらせているときに、また声を掛けていただき、テックプランターのキックオフイベントでプレゼンする機会も頂きました。

鈴木:リバネスに入って最初にやった仕事は何ですか?
石尾:最初にやったのは静岡テックプランターとマリンテックグランプリに参加するチームを集めるために、アポイントメントをとることでした。

鈴木:やってみてどうでしたか?

石尾:すべてがわからなかったです。「パートナー企業ってなに?」「協力機関と後援は何が違うの?」って。会ったこともない研究者に電話でアポイントメントを取るのですが、何を話していいのかわからず、最初は先輩社員が話している言葉をメモして、読み上げていない風に読み上げるわけです。結局、質問されれば答えられないといった日々を過ごしていました。
おかげで、今ではどこにでもアポを取って突っ込んでいけるようになりましたね(笑)。そこにストレスは感じなくなりました。

鈴木:今は香川での活動などを中心に活躍していますよね。

石尾:ちょうど香川で丸さんが講演する機会がありまして、私も同行したのですが、そこで出会った方に、「私も香川出身なんで香川でもテックプランター をやりたい」という話をしたんです。その方から地元の方を紹介してもらい、アポを取り、話は少しずつ進んでいきました。しかし、そこからが大変でした。パートナー企業もなかなか決まらないですし、契約もなかなか進まない。ここ5年間の科研費の獲得金額も、香川県は46位といった感じですから、そもそも研究者の数が少ない。事あるごとに「香川にそんなポテンシャルがあるのか」と問われました。ただ、「絶対にやる」と決めていたので、その一心で動き続けてきました。毎年、世界で活躍するようなベンチャーが生まれるくらいに盛り上げていきたいと考えていて、これからも力を入れていくつもりです。もちろん、香川だけでなく各地域でメガベンチャーの様な存在を生み出す力となって、自分なりのストーリーを話せるようになっていきたいと考えています。

鈴木:最近では、教育開発事業部など、他の事業部での経験もされていますよね。

石尾地域のエコシステムをつくるという意味では、次世代教育もとても重要です。ただ私自身、他の同期メンバーと比べて経験した実験教室の回数も少ないですし、子供の前に立った時は、逆に教わることも多いです。
自分は大切なメッセージを伝えられるだけの大人になっているだろうか・・・。
「研究を伝える」という部分では、これまで研究をしてきた経験もありますし、何となく自身もあります。でも、社会の一人として、まだ実績はありません。今後も新しい世界に飛び込み続けなければいけないと感じるのとともに、技術の社会実装に根ざした事業の創出をしたいと考えています。事業化しないと継続できないことはたくさんあります。ビジネスとして成り立たせるところをもっと修行していきたい
子供だって、そうやって努力して、結果を出している人の話を聞きたいですよね。

もちろん、地元の香川をより良くしていきたいと考えていますが、ここで得た知見が、延いては、世界中の地域の課題解決に活かせるのではないかと思いながら活動しています。