〔リバネスセンシズ〕科学と社会を「おもろい」で結ぶひと(後編)
リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。
伊地知 聡(いじち そう)
修士(工学)
専門分野:有機化学(人工甘味料、味覚)、細胞生物学(がん、アポトーシス)
(聴き手:佐野 卓郎)
とにかく「おもろいこと」が大好きな伊地知さん。そんな彼が入社して最初に経験したのは、立ち上げて間もない大阪事業所での日々だった。その頃の伊地知さんについて話を聞いてみた。
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佐野:インターンを経て大阪で採用されましたが、当時の大阪事務所での勤務はどうでしたか?
伊地知:仕事がなかったですね。売上も大阪事業所では500万円に満たなかったわけですから。メンターの先輩も常に隣にいられるわけではなかったし、ほんと、何もなかったんです。学校向け営業をいっぱいしてましたけど、なかなか決まらなくて苦労してましたね。
佐野:ほとんどひとりでしたよね?
伊地知:そうなんです。営業をとらなきゃと思っても、ひとりだと成果がでない。プロジェクトをやるにしても、相談するにしても、ひとがいないとできないわけです。ひとりというのは、自由だけど本当に難しい。
佐野:そして1年後、改めて東京に再入社をしたんですね。
伊地知:はい、気持ちを新たにしましょうということで。たくさんのメンバーがいろいろなプロジェクトを興していて、活気を感じました。
私自身は、東京に来るとすぐにアメリカでの実験教室のプロジェクトリーダー(PL)を任されました。
佐野:あれ?英語は?
伊地知:話せません。現地の日本人向けに実施するプログラムだったんです。
アメリカに住んでいても、大学は日本に行きたいという子が多かったので、日本での研究について紹介し雰囲気を伝えるような、そんな企画でした。あと、「サイエンスどっちがおもしろいかバトル」とかやりましたね。スタッフを2チームにわけて、どちらのサイエンスネタがおもろいか競うわけです。非常に盛り上がったのを覚えています。
佐野:その後、色々な経験をしたと思いますが、心に残ったプロジェクトはありますか?
伊地知:いくつもありますが、1つは、海士町でのサマーサイエンスキャンプですね。島をまるごと環境(水質)調査して、山の上から海までで、どこで水が汚れるのかとか、海でゴミが流れ着くのはどこかとか、対策を考えて町に提案したりもしました。全部で3回開催したんですが、そのうち2回は私がPLでした。3年目は特におもろかった。当時、自治体の間でエコ検定が流行ってたんですが、海士町も何かやろうってことになり、その問題を参加者が作ったんです。そんな企画をやってヘトヘトになりながら、それでもある晩、肝試しをやったんだんです。それもまた、めちゃくちゃウケて(笑)。今でも、その頃の参加者とは仲が良いですよ。
佐野:今後やりたいことは?
伊地知:私は大阪事業所のほか、沖縄事業所などに配属されたこともありますが、地方にいくと研究者の数って本当に少ないと思うんです。地域は今やその環境や産業の課題を研究していかなくてはならないはずです。でも一方で、大学生になるとみんな地元に残らず、都市部の大学に進学してしまいます。だから私は、地域に研究のできる中高生や次世代を増やしていこうと考えています。中高生が、地域のことを考え、課題解決のための研究をするんです。大人たちも、それに巻き込まれていく。そんな社会っておもしろくないですか。
「おもろい」は人を惹きつける。伊地知さんが提供する「おもろい」は今、単に笑いを提供するものから、今までなかったユニークな社会の仕組みの提案へと変わりつつある。そして今後、人々を笑顔に導く多くのプロジェクトを創出していくだろう。