〔リバネスセンシズ〕「書くこと」で世界中を巻き込む仕組みと人材を育むひと(後編)

〔リバネスセンシズ〕「書くこと」で世界中を巻き込む仕組みと人材を育むひと(後編)

リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。

磯貝  里子(いそがい さとこ)
博士(生命科学)

専門分野:植物細胞工学(植物細胞培養)、植物成分の分析

(聴き手:佐野 卓郎)

→前編はこちら

佐野:入社してからのことを教えてください。

磯貝:入社してすぐの仕事は『someone』と実験教室でしたから、インターンのときから急に変化があったわけではないです。
年明けぐらいになって、帝京大学の研究者を紹介する『T-BERRY』という冊子の制作を手掛けはじめました。宇都宮で合宿しながら、日々取材かリサーチ、記事書きしかしない生活を送っていましたね。デザイナーやプロのカメラマンと一緒に紙面全体を作り上げるというのは、色々な視点が得られて、とても勉強になりました。同時にこの頃から、記事を書く量が数段増えました。
とにかく記事を書き続けていくうちに、なんとか、思うような記事が書けるようになったんです。急に記事が書けるようになったということはなかったですね。
自分の仕事にある程度自信が持てるようになった頃、ようやく丸さんとも対等に話せるようになった気がします。自分の考えとかやり方を主張できる。それが4年目くらいです。

佐野:大阪に異動しましたが、その後はどんな仕事をしていますか?

磯貝:企業や大学の研修とか。あと、理系キャリア応援マガジン『incu・be(インキュビー)』というのがあるんですが。

佐野:知ってますよ。私も立ち上げに関わった一人なので。『incu・be』は一度、休刊しようなんて話もでていましたが、その制作を大阪事業所の方に移管したのは磯貝さんでしたね?

磯貝:関西には『incu・be』が必要だと思ったんです。関西圏の学生におけるリバネスの知名度の低さ。そのためにインターン生も少なくて、大阪に異動になったとき、仲間を増やす必要性をすごく感じたんです。学生や研究者に会いにいったとき、「これを読んでください」と渡せるものが欲しかった。そしてそれは、Webとかじゃなくて、その場で手渡しできる、姿形があるものにしたかったんです。

佐野:なるほど。

磯貝:それに、やがてインターン生のプロジェクトにもなると考えていました。『incu・be』では、様々なキャリアの研究者や博士に会うことができます。学生にとっても、色々な視点を得ながら、ライティングスキルを高める機会となるはずです。

佐野:今後はどのようなことをしていきたいですか?

磯貝:文章を書く仕事は、自分のコアにあると思います。自分が記事にしないと誰にも知られないようなことがある。研究者を取材して外には知られていないその人の魅力を伝えたい、とそんな風に思っています。
研究者や起業家などに直接会ってしゃべってみると、思ってもみない話が飛び出したり、その場で色々な方向に発展することがあるんです。その場の空気とか、アイデアが混ざり合った時の熱みたいなものも文字に残して、留めておく。そうやって、単なる情報だけでなく熱を合わせて伝えていくことが、重要なんだと思います。
サイエンスブリッジコミュニケーションのひとつの手段でもある「ライティング」を自身も追求していきながら、同時に「書ける研究者」を増やすような活動をしていくつもりです。

 

リバネスには、様々なものが生み出される瞬間がある。その場面に居合わせ、文字を通して多くの人たちに伝えていこうとする磯貝さんの活動は、さらに多くの人やアイデアを呼び込み、イノベーションを加速させるかもしれない。地道かもしれないが、磯貝さんの活動は大きな成果につながっていくに違いない。