新コーナー【博士の底力】 

実験がうまく行かない時があるように、
キャリアがうまく行かない時だってある。
基礎研究を続けて、新しい発見をし、
論文を書く人生…
それだけじゃない気もする。
キャリアの選択は
正解なんてないはずだから、
自分の道は自分が決める。
それが「博士の底力」。
進路に対して自分なりの答えを出した
今回のナビゲーターは……

スライド1

塩水港精糖株式会社 糖質研究所 博士(医学) 正木久晴さん

ES細胞を材料に研究を行っていた正木さん。苦しい就職活動を乗り越え、専門分野とは全く異なる世界に飛び込んだ今だからこそ、言えることがある。

─博士課程へ進学した理由や、企業への就職活動をはじめたきっかけを教えてください。

中途半端な結果のまま自分のテーマを終わらせたくなかった。なので、修士課程で就職活動はほとんどしていませんでした。しかし、博士課程に入るとすぐに将来に対しての不安を感じるようになりました。博士課程2年の頃には就職活動を始めましたが、希望する研究職の内定が取れず、卒業が迫った1年前に転職支援のエージェントに相談を始めました。その中でテンプスタッフがポスドク就労
支援を行っていると知り、登録しました。結果的にテンプスタッフから紹介された会社に就職しました。

─就職活動を振り返って、どうでしたか。

新卒採用で100社以上に書類を提出しました。ですがそのほとんどは書類選考を通過できませんでした。一番のダメージは、自分には本当に能力がないのではないか、と自信が持てなくなったことです。その感情は就職活動の最後まで払拭されませんでした。

─正木さんは「紹介予定派遣」という制度を活用されて正社員に登用された訳ですが、不安はありましたか。

就職活動において「派遣社員」という選択肢は考えていなかったので、もちろん最初は躊躇しました。しかし、業務内容に興味が湧き、自分の能力によっては正社員登用があるということでしたのでチャレンジしてみることにしました。─3 ヶ月の派遣期間を経て、希望どおりに直接採用となったんですよね。では、次に業務内容に関して教えてください。弊社は明治37年創業、来年110周年を迎える塩水港精糖株式会社という食品会社です。主に原料を海外から輸入して、精製糖(砂糖など)にして販売しています。私は研究所に所属しており、「オリゴのおかげ」に続く機能性食品や、工業的に価値のある糖誘導体などの開発をミッションとした業務に従事していま
す。機能性評価の動物実験や、遺伝子組換え体の作製、最近は化学合成などを行っています。就職後、習得した技術や知識も非常に多岐に渡っています。

─最後に、正木さんの「博士の底力」って何だと思いますか。

今の時代、博士課程に進学をするには相当の「意志の強さ、精神力」が必要だと思っています。ですから、今の博士人材には強い精神力が備わっていると思うんです。多少の挫折にも屈せず戦える強さも博士の底力ではないでしょうか。私は就職活動がスムーズでなかった人間ですが、諦めずに(ただ、状況を理解し、条件を緩和する必要が有る場合はありますが)続ければ、自分の活躍場所は見つかります。博士課程という厳しい世界を戦い抜いてきたからこそ、今度は博士の社会的評価を上げられるようにがんばりたい、というのが今後の私の「博士の底力」かもしれません。

 

テンプスタッフでは、研究者の就労支援を行っています。
就職活動で不安になったことはありませんか? 私たちテンプスタッフでは、一人ひとりの条件や状況に沿った就労支援を行っています。基礎研究から製品開発、特許・治験・研究支援まで、理系研究者の幅広いキャリアを、正社員から契約社員・派遣社員と様々な雇用形態でご提案いたします。人生の大切な岐路は一人で悩まずに、まずは、テンプスタッフにご相談ください。

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インタビュア:テンプスタッフ株式会社 研究開発事業本部 魚津理映 博士(農学)