未利用資源×サイエンスが生み出す養豚業の新しいカタチ

未利用資源×サイエンスが生み出す養豚業の新しいカタチ

安価な海外産豚肉との競争が激化する養豚の現場では、感染症の流行や飼料費の高騰に直面している。そのような中で、栄養学や衛生学などサイエンスの視点を取り入れて、未利用食品資源を飼料化したエコフィードを開発し、付加価値の高いブランド豚を産み出す取り組みが進んでいる。

都市圏の残渣を資源に変えたサイエンスの力

食品製造工場、スーパーマーケットなど、大都市圏では毎日、大量の食品残渣が排出されている。そうした残渣に着目したのが株式会社日本フードエコロジーセンターだ。連携する関東圏の小売店などから 1日あたり約30トンの食品残渣を回収し、異物検査、破砕処理、殺菌、乳酸発酵処理を行い、養豚用リキッド発酵飼料を製造している。その飼料で飼育された豚は、「優とん」ブランドとして販売されている。「日本では昔から家庭の残飯を利用して豚を飼育する文化がありましたが、トウモロコシを主体とした飼養技術の流入により、その方法は淘汰されました。私たちは日本にもともと存した技術を衛生学や栄養学のサイエンスで補強したのです」と同センター代表取締役の高橋巧一氏は語ってくれた。

地域独自の未利用資源を活用してブランド化へ

食品残渣を活用した都市型の養豚が誕生する一方で、地域ならではの農産物がもつ機能性成分に着目した養豚も始まっている。株式会社リバネスは、2010年に養豚農家、琉球大学、県産農産物の加工業者とともにシークヮーサーやアセロラの加工残渣に含まれる機能性成分に着目した飼料を開発した。飼料開発にあたっては、発酵学を応用した残渣の飼料化に加えて、栄養学の観点からビタミンなど基本飼料で不足する成分を補った。その飼料を給餌した「福幸豚」は、沖縄県産果実由来の飼料を食べ、県内で飼育されたという地域性を訴求し他にはないブランド構築に成功した。福幸豚を例として、千葉県でのパンの耳の飼料化や沖縄県でのパパイヤの飼料化などが実施されており、未利用資源の活用が養豚業界へ新たな風を吹き込んでいる。

未来の養豚を照らすエコフィード豚

前述の高橋氏は「食品のリサイクルは許認可や機械設備など普及には多くのハードルを抱えています。本センターがその先駆けとなり、社会の仕組みを変えていきたいと考えています。」と語ってくれた。サイエンス×未利用資源の組み合わせで誕生したエコフィードが養豚業界や食品リサイクルなど仕組みを変える大きなうねりになることは間違いないだろう。

※未利用資源の飼料化等については、以下までお問合せください。
株式会社リバネス 地域開発事業部