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難治性癌・癌幹細胞の 三次元培養薬剤スクリーニング from 「BIO GARAGE」vol.22

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再生医療分野で注目されてきた三次元培養法であるが、今、創薬の分野から熱い視線が注がれている。協和発酵工業株式会社(現・協和発酵キリン株式会社)で癌遺伝子Ras、Srcなどを標的とする抗癌剤の探索を行い、北里大学生命科学研究所を経て現在は東京工業大学で創薬研究を続けられている中野洋文氏に、お話を伺った。

東京工業大学資源化学研究所 特別研究員 中野 洋文(なかの ひろふみ) 氏
東京工業大学資源化学研究所 特別研究員 中野 洋文(なかの ひろふみ) 氏

10月17日にBioJapan(パシフィコ横浜)ランチョンセミナー「3次元培養の優位性とイメージング・アッセイの可能性」が開催されます。
詳細はこちらよりチラシをダウンロード。


注目高まる三次元培養技術

癌の創薬の歴史は、今、何度目かの転換点に来ているのだという。70年代以前に開発されたマイトマイシン、アドリアマイシン、5-FU、シスプラチンなどの抗癌剤は、主にマウスの癌を植え付けたマウス評価系で発見された。80年代からチロシンキナーゼや増殖因子の受容体などの分子標的に作用する薬剤の探索が盛んになり、白血病などの治療が進歩した。しかし、一度寛解した白血病においても再発することが多くその原因として治療薬が効かない癌幹細胞が残っていることが明らかにされてきた。また治療の困難な膵臓癌、大腸癌、肺癌などでは癌遺伝子RASが変異・活性化されており、このような難治性の癌に対する創薬においては新たな探索法が必要である。そのような中、癌幹細胞や難治性の癌細胞を、その性質を保っている三次元培養で増殖させる技術の進歩が注目されてきた1), 2)。これからの癌の創薬は、三次元培養法を用いたスクリーニングで薬剤の効能を精度高く評価し、マウスの癌モデル試験により薬物動態試験を含んだ評価を行うという流れになっていくと、中野氏は言う。

創薬の新しい評価システム

中野氏は平成24年度NEDOイノベーション実用化ベンチャー支援事業「神経選択的転写因子を標的とする線維筋痛症薬の開発」において、神経特異的遺伝子の転写抑制因子であるNRSFが高発現している難治性髄芽腫(脳腫瘍の一種)で三次元細胞培養系を用いて化合物ライブラリーの探索を行った。条件検討の末、住友ベークライトのU底プレート(PrimeSurface 96Uプレート)に髄芽腫の細胞を1000 個/wellでまくと、6日後には安定的にシングルスフェロイドを作ることができるようになった。またスフェロイドの増殖と形態を迅速評価するため、大日本スクリーン製造のCell3 iMagerを採用することにした。用いたPRISM BioLabのライブラリー化合物3000種は基本骨格に4か所の側鎖が規則的に異なるものだったが、決定した条件下で実際にスクリーニングを開始すると、4つの周期が髄芽腫細胞のスフェロイドでの増殖阻害活性に反映され、かつ高い再現性が得られた。この評価系の構築には約3か月かかったが、3000化合物のスクリーニングは4週間で完了することができた。これからの細胞を用いた抗癌剤などのスクリーニングには、正確でスピーディな三次元培養評価系が重要になるはずでぜひ多くの研究者に試してほしいと中野氏は静かに強く語った。

右が中野氏。真ん中は実験をした西田幸子さん。左は資源化 学研究所教授の中村浩之氏。
右が中野氏。真ん中は実験をした西田幸子さん。左は資源化 学研究所教授の中村浩之氏。

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1) Thoma CR, et al. 3D cell culture systems modeling tumor growth determinants in cancer target discovery. Adv Drug Deliv Rev. (2014) 69-70, 29-41.
2) Kenny PA, et al. The morphologies of breast cancer cell lines in three dimensional assays correlate with their profiles of gene expression. Mol Oncol. (2007) 1(1), 84-96.

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