うまい、やすい、はやい、そして健康に
株式会社吉野家ホールディングス
代表取締役社長 河村泰貴 氏
1968 年生まれ。
1993 年株式会社吉野家ディー・アンド・シー(現:株式会社吉野家ホールディングス)入社。
2004 年 7 月 株式会社はなまる取締役はなまる事業本部副本部長。
2007 年 4 月 同社代表取締役社長。
2012 年 9 月 株式会社吉野家ホールディングス代表取締役社長(現任)。
吉野家ホールディングスがめざす食の未来
牛丼の「吉野家」、うどんの「はなまる」など、圧倒的な認知度を誇る外食チェーンを束ねる吉野家 ホールディングス(以下、吉野家 HD)。グループ全体で“うまい、やすい、はやい”という価値観を共有・実践し、多くの人々の食を支えている。そんな日本を代表する外食企業が、食と農業の未来を考える起農家が集うアグリプレナーグランプリにスポンサーとして参加する。吉野家 HD がめざす食の未来とはどのようなものか、また、アグリプレナーグランプリにどのような期待をもっているのか、河村泰貴社長に話を伺った。
転換期にある外食産業
「現在の飲食業は過渡期にあり、これまでの大量生産大量消費という勝ちパターンが通用しないのです」と吉野家 HD の河村社長は外食産業の現状をこう指摘する。飲食業界では新しいメニューを開発しても、知的財産として守ることができない。そのため、同業他社に模倣され、均質化と同質化が進む。つまり、品質面で差別化が図りにくくなり、価格競争に突入してしまうのだ。この状況を脱却するべく、河村社長はグループ全体の成長テーマとして「リ・イノベーション」を掲げた。 “うまい、やすい、はやい”に、さらに新たな価値を加えることで、革新的なビジネスモデルを産み出すのだ。
日常食を通じて『健康』を提供したい
その改革のキーワードの1つが『健康』だ。すでに、はなまるうどんでは、うどん 1 玉にレタス 1 個分の食物繊維を含んだ食物繊維麺をメーカーと共同開発し、2013年 4 月から提供している。「私たちは人々の生活に根ざした日常食を提供しています。手ごろな価格であり食べてしっかり美味しく、食べ続けるうちにいつの間にか健康になっている、これが私たちのめざす食の未来です」と河村社長は言う。
食の未来をつくる仲間を求めて
そうした未来をめざす吉野家 HD が関心をもつ技術分野は幅広い。健康機能性と低価格を両立できる新規の食素材、鮮度保持など知的財産として守られる機能をもった厨房機器、さらに今後、外食企業自体が生産に参入することが一般的になるとも考えており、高品質で効率的な食料生産方法のアイデアをもつアグリプレナーとの出会いを期待しているのだ。「アグリプレナーの方々とはビジネスパートナーとして対等な関係を築いてきたい。国内に限らず国外でも一緒に展開していきたいですね」と河村社長は語る。『食を通じて世界を健康にする』この壮大なビジョンを実現するために今、アグリプレナーの力が求められているのだ。
出展:『AgriGARAGE』07号、14ページ